思うままに(シグ)


「ああ、もう無理!」

ばたん、両手を広げて後ろに倒れる。
もう駄目、力使い切った。目を閉じて大きく伸びをし、再びそれを開けば眩む天井と……
シグ。

「うわああああっ!?」
「起きたのか」

そもそも寝ていた訳じゃないんだけど……というかなんでシグがこんな所に居るんだか。彼は私の頭をぽふぽふ撫でてから机に置かれた原稿に目を移した。
ごめんそれ見ないで私の黒歴史。

「……なにこれ」
「見ての通り黒歴史だよ」
「くろれきし?」
「人に見られたくない過去のことだよ」

シグは「へー」といかにも納得したように頷きながらそれを手に取った。私の話はどうやら彼の耳に届かなかったようだ。
でもそれをわざわざ奪い取る気力も無いので、仕方なく深い溜息を吐く。クルーク対策はしていたけれどまさかシグに見られるとは想定外だった。クルークにも結局見られたけれど。

「それが私の昔の文。今と全然違うでしょ」
「うん。こっちの方が面白い」
「でしょ?……え?」

思わず耳を疑う。でもシグは嘘を吐いている様子もなく、髪の毛アンテナをピコピコ揺らして喜んでいた。

「どうしてそう思うの?」
「ナマエが書いてる感じがする」
「はい?」
「わー、ナマエの文みたいー」
「いやそもそもそれ私の文だから」

私が書いている感じ、か。確かに今シグの持っている原稿はかなり前、私の名前が売れる前に書いた話だ。
あの時はとにかく話を書くことが楽しかった。それも物凄く楽しみながら書いていたっけ。懐かしいな。今ではこれが仕事になってしまったから楽しむ暇なんて無くなっちゃったし。
……いや、学生がこんなんで食べていける時点でだいぶ可笑しいけど。

「今のナマエのはなし、つまんない」
「……なんで?」
「誰か別の人が書いてるみたい。つまんないー」
「どのあたりが?」
「つーまーんーなーいー」
「……」

ああ、うん。シグが話を聞いてくれること自体が極めて稀なことだからね。
別の人が書いてるみたい、か。……否定はできないかもしれない。
今と昔では書いている間の心境が全然違う。今では楽しむことさえできない。

「……んー、心境の変化って何か意味があるのかねえ」
「つーまーんーなーいー」
「あんたは少し落ち着け」

書くのに大切なものってなんなんだか。



………………………
おっかしーなー。
自分の状況を如実に表そうと頑張ったら意味不明になりました。どうしてこうなった。
本当なら「初心を大切にねあはは」みたいな文にしたかったんですけど、ねえ。
ということで没ったのでゴミ箱入り。これはこれでいいかもしれなくもないけどなんか気に入らない

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