視点をあえて逆にしてみた。


走る。ただひたすら走り続ける。
久しぶりの君に会うために。

思えば、あんな事があってから月日は過ぎた。
僕が魔導学校で授業をしていたときかな?
ノートを取る際にペンを落としてしまった。
それを隣に座っていた人が拾ってくれ、恋に落ちるっていう典型的なパターン。
それはただ、昔、本で読んだおとぎ話だけだと思っていたのに。

それなのに、現実に起こってしまうなんて。
全然考えたこと無かったのに。

「おっと……」
「あ、これ君の?」
「まぁね……拾ってくれてありがとう」
「気にすることじゃないわ。どういたしまして」

ただ、ペンを落として。
ただ、拾ってくれて。
ただ、ほんの少しだけの会話だったのに。
何故、この僕がこんな簡単に恋に落ちるんだろう。

僕はまだ走る。
待ち合わせの場所に行くために。

急のことで驚いた。
君は僕と同じ位の成績だったはずなのに。
いきなり、憧れの先輩が通うエリート魔導学校に行くなんて告げてさ。
信じられなかったよ。
いや、正直今でも信じられないのが正解かな?

大好きな人が離れる時って、こんなに寂しかったっけ。

確かに、よく喧嘩をした。
確かに、二人で怒られていた。
確かに、ぷよ勝負でほぼ互角だったことが悔しかった。
何故、それでも一緒にいたいって思うんだろう。

今じゃあ、その答えは見つかった気がするけれど。



「はぁ……はぁ……」

ここのところ、本ばかり読んでいたせいか、少し疲れた。
約束のベンチで息を整え、君を待つ。

変わってないかな?
強くなったかな?
もしかして、嫌いになったりしてないかな?
様々な思いが頭の中を駆け巡っていく。
だからかな?

「おまたせ。もしかして待たせた?」

懐かしい声になかなか気づかなくて、君の魔法をくらったのは。
まぁ、それも懐かしいことだし。

「ナマエ、僕をどれだけ待たせる気かい?一勝負付き合って貰うよ!」
「最初はおいといて……そうこなくっちゃ!」

魔法の間から、君の笑顔が見え隠れした。



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たまには、キャラクター視点にしたかったんです。
クルークさんのお話でした。

……それにしても、二人称視点って難しいですね。


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