※この話は、shortにある『特別な君に。(レムレス)』の番外のようなものです。
というわけで、先に読んだ方が分かりやすいのかも……?
教室二つ分の部屋。
そこで私は喫茶店を営んでいた。
魔導学校の生徒が来ることもあったりする、小さな喫茶店だ。
最近、常連客が出来た。
緑を基調とした、杖を持つ魔導士。
名前を、レムレス、といった。
コーヒーに砂糖が溶けきらないくらい、最大量を入れる程の甘党。
……まぁ、それが魔力源なら仕方のないことかな。
カラランッ
ドアベルが鳴る。
時間通りだから、おそらく彼が到着したのだろう。
「いらしゃいませ、レムレス」
「久しぶりだね、ナマエ」
そんなこと言ってるのに。間違いなく、昨日も同じ事言ってるよね。
まぁ、いいか。
レムレスはカウンターの席に座る。
「いつものだよね?」
「うん、そうだね。お願い」
笑顔で彼は答える。
砂糖をとびっきり入れて彼に出す。
これを笑顔で飲み干すものだから驚きだ。
「そうだ、今日はナマエに渡したいモノがあって」
「渡したいモノ?」
「あれ、思い当たらない?」
レムレスは困った顔で首を傾ける。
いや、そんなコトされましても。
「はい、どうぞ」
表情を崩さずに渡したそれは箱。
小さな箱。
静まり返る部屋にオルゴールの音が響く。
「えっ……」
開けてみると、二つのハートがくっついているような形をしたチョコが入っていた。
慌てて、ここのカレンダーを確認する。
2/14、と書かれていた。
「いつものお礼だよ、ナマエ」
多分、これは本命ではないと思う。
でもいいんだ。
凄く嬉しい。
私は後ろの棚から、チョコレートケーキを取り出した。
「私特製……だよ!」
「ありがとう」
二人だけの店内。
甘い時間を過ごしていた。
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この話を知らない人が絶対いるから没に……。
個人的には気に入っていたりします。
(17/31)
title bkm?
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