Chapter.14


現在。
約束の時間まであと三十分。
この、あと少しで。自分の気持ちに決着をつけなければいけなくなる。
今まであったことも、これで片づく……はず。
何だか不思議な気持ちだ。

前の『私』は、確か。
『恋』という世界を知らない『私』だった。
だけど、クルークに告白されて。
ラフィーナやアミティにも相談して。
アコール先生の授業もたまに上の空になっちゃったりして。
たった数日の時間だったのに。
いつのまにか、その未知の世界に入り込んでいて。


――毎日が非日常みたいだった――


その世界をみんなと一緒に歩いてきて。
……まぁ、正確には私が巻き込んじゃったようなものだけど。
とにかく、その結果が今の『私』なんだ。
この廊下を歩いて、屋上へ続くあの場所へ。

ううっ、なんだか緊張してきた。

振り返ってみる。
静まり返って物音一つしない。
もう一度前を向く。

「わっ!ご、ごめんなさい!」

誰かにぶつかってしまったようだ。
その人の顔を見ると……

「ナマエさん、突然ですが抜き打ちテストですよ」
「ア、アコール先生!いきなりそれはないですよ!!事前に言ってください!」
「予告してしまったら、抜き打ちではなくなりますからね。はじめますよ?」
「ひえええええええええええええええええええええっ!!!」

時計を見ると、あと十五分。
うわっはぁ……こりゃ急いで終わらせないと間に合わない!!



「負けちゃったわね……」

そういってアコール先生は立ち上がる。
もう少しでこっちが負けるところだったよ。

「ナマエさん、昨日の基礎が身に付いているようですね」
「本当ですか!?ありがとうございます!!」
「これからも頑張りましょうね」
「はい!!」

そう言ってその場を立ち去った。
やったー、アコール先生に誉められたー!
これもクルークのおかげかなー……あれ?クルーク?
時間はもう三分前。かなりマズイ!

私は屋上へ続く階段を急いで上った。



「ナマエ、本当に大丈夫かしら」
「大丈夫かなー?」

ラフィーナとアミティが見に来ていたのは、誰も知らない。


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