Chapter.12


夜。
自室のベッド。
私はそこに寝転がっていた。
今日あったことも同時に考えていた。


「やっと終わったね、ナマエ」


そう言ってくれたクルークの笑顔が忘れられなかった。
なんでだろう。よく分からない。
心臓がいつもより早く動き出す。
もしかしてこれが?


――「……ですわよね。天然系鈍感少女、ナマエですから」――


これが………『恋』………?


いやいやいや。
そうと決まった訳じゃない。
そもそもそんな事ってしらないはずだったのに。
なんでだろう。
そんなことは考えなくても分かる。


クルークの告白という非日常の世界へ足を踏み入れたからだよ。

その領域へ入ったら最後、二度と戻れない。

その世界を知ってしまえば、何もしらなかった自分でも分かってしまう。

恋とはそういうモノなんだと思う。


そんな風に考えても難しいことに変わりはない。
ああっ……もう……。

「どうしようもないじゃないかああああああああああああ!!!」

ゴッ

「痛っ」

叫んだ後、ベッドの上を転がった私がバカだった。
落ちることなんて分かってたのに。
落ちたら痛いって分かってたのに。
……恋だって最初から分かっていれば良かったのに……。

あれ……?
なぜ、心が痛いの?
なぜ、心が張り裂けそうなの?
痛い。辛い。
そんなことが頭の中でグルグルして、視界が霞んで……。

私はその後のことを覚えてはいなかった。

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