02


いつもの時間、いつもの通学路。大体いつも通り。
……でも、今日はそうじゃない。理由はとっても簡単だった。
それは……

「……離れて」
「断る」

隣に居るのがクルークではなく、彼だということ。


私は今日もいつも通りの時間に起きて準備をし、アミティやシグ達と一緒に学校へ行く。そのはずだった。なのに、私の予定はいとも簡単に狂ってしまった。
まず、彼が私の目の前に普通に居たこと。この時点でだいぶおかしい。いやすっごくおかしい。
確かに私の家は一人暮らしをするにはちょっとばかり広い。だからちょくちょくアミティやシグが泊まりに来る。クルークも一応例外ではない。
でも、忘れちゃいけないのは彼はあくまで『クルークの身体を借りた魔物』だ。
というかそれ以前に昨日は彼を泊める約束なんてしていない。つまり完全に不法侵入。
でもまあここまでは私のスル―スキルで一応なんとかなり、自分の準備を(ほぼ強引に)進めることはできた。
けど、問題はその後だった。
あろうことかこいつは突然紅茶を淹れて飲み始めたんだ。平日の朝になんてことをしているんだろう。いや朝だから?
しかもそれを私にまで勧めるときた。完全に私を学校に行かせないつもりでいやがる。
仕方なく差し出された紅茶を受け取り(強制)、私は学校に行けないと絶望した。
だけど実はティータイムの間の時間は完全に止まっていたことを知り、本日三度目の溜息を吐く。
そして彼は何事もなかったかのように学校の支度をし、私を連れて家を出た。
……うう、思い出すだけで頭が痛い。あと混乱する。何を考えているんだろうこの魔物。
取り敢えずまとめとして一つ言えるのは私が完全に振り回されているということ。
ああ、朝だけでこんなに大変なことになているなんて。私は大丈夫なのかな。
ちなみに学校の皆にはご丁寧に記憶操作をしているらしく、違和感なく学校に通えるとか。
嫌だ。私の隣の人クルークなんだけど。
どうしてこんな時に限ってこうなったのか。アコール先生助けて。

「ナマエ、かなり遠い目をしているようだが」
「大丈夫だよ変態、大体あんたのせいだから」

乾いた笑顔でそう呟くと、何故か彼はにやりと微笑む。
そして「そうだ、お前は私のことだけを考えていればいい」と一言。
この人の思考回路絶対おかしい。魔物と人間のそれはそんなに違うのか。いや流石に無いって。
少なくとも私がまだ普通なら、そんな考えには至らない筈なんだけど。
……今度レムレスに聞いてみよう。あの人も変態だし。

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(4/14)
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