その1「下準備とプロローグ」


「あのー、あやクルさん」
「何だ」
「大晦日当日、しかも朝どころか皆掃除に集中しているか終わっているであろう夕方にこんな教室開くのは如何かと思うのですが」
「構わぬ、私がしたいだけだ」
「えー」

掃除の終わったばかり部屋に、いきなり紅が入り込んでくる。
なんだなんだと困惑していたら、掃除教室をすると言いだしたのだ。
頭おかしい。絶対おかしいよこの人。
この掃除したてのキラキラした部屋でどう掃除教室開くのさ。

「ねえ、念のため聞くけどこの部屋で掃除教室するの?」
「そうだが」
「この掃除したての部屋で?」
「ああ」
「綺麗な部屋で掃除教室開いても特に意味無いと思うけど」
「簡単なことだ。……元に戻せばよい」
「え――」

言うが早いか、彼は私の部屋の時間を巻き戻し始める。
ちょっと待ってこの部屋の掃除十時間掛かったんだけど。
何?嫌がらせ?私の苦労を返してっていうかそんなことしないで頼むから!!
もう私の体力はとっくの昔に0よ!!
……どうせ言っても聞いてくれないけど。

「あー、十時間分の努力の成果が……」
「残念だったな。貴様の部屋は私が掃除する」
「ちょくちょく意味不明なボケかましてくるねあやクルさん」

※しかもあまり笑えない(冗談じゃない的な意味で)

「どうでもいい。さっさと始めるぞ」
「私は何をすればいいの?」
「邪魔にならない場所に立っているか解説していろ」
「手伝わせる気無しか。少しくらいやらせてよ」
「……やりたいならやっておけ」
「そもそもここ私の部屋だから立場逆なんだけどね」


掃除の手順その1
「下準備」

「さて、今回のシチュエーションはそれなりにゴミの溜まった部屋です」
「そうだな……まずは窓を開けて網戸にしろ。そこから全てが始まる」

表現が微妙な気がするけれど、まあいい……かな。
言われた通り窓を開け、風通しを良くする。
あの、夕方なのにこれするとすっごく寒くなるんですけど……駄目?

「はい、開けました。寒い」
「私のように何か羽織っていればよいものを」
「マントだけはやめて下さい。……で、カーテンも開いて束ねる、と」
「ああ。この時掃除機のヘッドやパックを確認しておけ。まれにゴミが吸えないなどの大変な事態が起こることがある」
「わあ、それは辛い」

といっても掃除機は魔導が掛かっているから特に問題は無い、かな。
一応確認だけしておき、邪魔にならない場所に置いておく。

「これで下準備は完了だ」
「次から本格的に始まるね」
「ああ。だが尺の関係で次回へ行くぞ」
「ちょ、だったら前置き省略しなよ!」



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