その5「課題の放棄、奴の愉悦」


「宿題が、驚きの白さ!!」

取り敢えず叫んでみた。
うん、冬休みの課題真っ白だわ。驚くほどに真っ白だわ。
これ誰が漂泊したの?してないよね。私のせいだよね。うん。

……。

「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


「で、どうしてこうなるんだい?」
「いやあんたが勝手に駆けつけたんだろうが」

目の前にあるのは溜まりにたまった算数プリント(両面印刷な全25枚、某エリート校入試問題込)と魔導ワーク(みんなで楽しい魔導ワーク。全然楽しくない)。
それから……
『古代アルカ語☆スピーチコンテスト』の真っ白な原稿。
うん、終わった。
ってか何なの古代アルカ語って。また本にあの三つのアイテム近付けてあれを召喚しろと?
……いや、それはもういらないんだっけ。一回やったし。
どちらにせよ召喚しないけど。

「あーあ、あやクルが居たらこの原稿即効で書き終わるのに」

私の呟きに、彼の身体が動く。
なんか反応したな。多分「あやクル」に文章検索が引っかかったんだろう。

「な、そんなもんボクがやってやるよ!」
「いやそういう訳ではなく翻訳が効くから「テーマはキミの友達でいいよね?」聞けよ人の話」

どうやら聞く気は無いらしい。
個人的には算数を教えてもらった方がありがたかったんだけど……
まあ、こうなったクルークは止められない。諦めよう。
分からないところは素直に赤ペンの無駄遣いをすればいいし。

「ま、取り敢えずは……頑張るか」
「うおおおおおおおおおお!!」
「おい大丈夫かクルーク」


「終わったー!!」
「はあ、はあ……こんなもんでどうだい」

数時間後、ようやく算数の丸付けとワークが終わる。
今回のワーク、写しと選択問題ばっかりで助かった。いつもより範囲薄めだし。
クルークも原稿を無事(じゃないけど)に書き終えたようだった。私疑われるじゃん何やらかしてんのこの眼鏡。

「クルーク、さっき私の話聞いてなかったみたいだからもう一度言う。その原稿は私が書く。だからみんな消せ」
「はあ!?」

クルークは目を見開いていかにもめんどくさそうな顔をした。
早とちりするからだよ、馬鹿クル。

「はあ……キミ、ボクがキミのためにどれくらい頑張ったと思ってるんだい?少しぐらいキミからもお礼を貰わないとね」
「ねえ人の話聞いてる?」
「勿論聞いてないよ!」
「聞けよおい」

やっぱり聞く気はゼロらしい。
言うなりクルークは私に近寄ってきて……強く強く抱きしめてきやがった。
やめて下さいまだ原稿書き終わってません。死んでしまいます。宿題的な意味で。

「……クルーク、放して」
「嫌だね。頑張った分、キミにたっぷり癒して貰わなきゃ」

わあ酷い。




「ナマエさん、スピーチの内容があなたに相応しくないような気が……」
「先生、私は至って正常です」

…………………
わーん英語のスピーチ原稿大掃除で捨てちまった。
冬休みの宿題は終わってるけどこれは(以下略
眠い。

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(5/5)
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