その1「課題の消失、奴の出現」



「無い……無い無い無い無い無い無い無い!!」

本棚を必死に漁りながら、何故か物凄く叫び続ける。
え、本当に?
本当に無いの?
嘘、ねえ、嘘だよね。
嘘だといってよ誰か。
ねえ……

「課題……無くしたアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


「……落ち着いたかい」
「うん、ありがとうクルーク」

どうやら外にまで叫び声が聞こえていたらしく、たまたま近くを通りかかったクルークが助けに来てくれた。
正直今回の課題は骨が折れるけれど、こういう天才が居てくれると本当に助かる。
この人の場合確かに途中から解説に愚痴が混じるけれど、教え方が非常に分かりやすいし。
ごめんねクルーク。そしてありがとう。
今度ラフィーナにボコられそうになった時には止めてあげるよ。
……多分。

「さて……キミは一体何の課題を無くしたんだい?」

話を課題に戻し、クルークはメガネの縁を指で押し上げる。
なんだろう。一気に前言撤回したくなった気がする。
まだしないけど。

「あはははは、30ページ分の20ページを終わらせたワークのノートだよ」

――刹那、彼の表情が凍った。
うん、物凄く面倒な物無くしちゃったんだ。
クルークは血相を変え、これまた物凄い勢いで突っ込んでくる。

「それって……かなり大変じゃないか!!」
「だから嘆いてたんだよ!運のいいことに今回得意分野だからあんまりクルークに頼らないでもすぐ終わるけど!」

大変なことは分かってる。
でも今回は私が得意な光魔法の分野だ。
あまり時間を掛けなくてもすぐに終わるし、一応あまり問題は無い。
……ただ一つあるのは、クルークがここに存在する意味が無いことかな。

「ということでクルーク。私は今から勉強タイムに入るから」
「どうせ何かあったらすぐにボクに泣きついてくるんだろ?」
「失礼な。もうあんな喚かないしさっき言った通りこの分野は得意なんだから」
「キミの得意はボクの苦手じゃないか」
「さっきから五月蝿いなクルーク」

なんだかかなり挑発されてる気がするけど、あえてスル―しておく。
そのうち本でも読みだして静かになるだろう。
……そう思っていた。
思っていたけれど。


「ナマエ、そこの答えがどうしてそうなるか知ってるかい?」
「知ってる。花言葉の話は聞きあきた」
「そこの問題は結構躓きやすいよ。キミになんか解けるのかい?」
「これくらい楽勝。専攻するくらいなんだから」
「あ、スペルミス見つけた」
「いちいち細かいところまで見ないでよ」
「うひゃひゃひゃひゃ!ナマエ、そこの答えは『The.World』だよ!」
「騙そうとするな!審判のカードで合ってるでしょ」
「残念、運命の輪だよ。キミって本当に馬鹿だね」
「わざわざ二重トラップ仕掛けるなめんどくさい」

いちいち問題に突っ込んでくる無駄な懇切丁寧さ。
五月蝿い。段々イライラしてきた。
大体馬鹿だなんて言われないでも分かってるっての。自覚してるよそんなこと。
というか気が付いたら密着する距離に居るし吐息がめっちゃ耳に掛かるし声が頭に響く!
絶対邪魔しに来たよこいつ。だからクルークは嫌いなんだ。今嫌いになったんだけど。
頬が熱くなっていくのを感じながら、私は羽根ペンを置きクルークの方に体を向ける。

「……なんだよ」
「私が頑張って集中して勉強してるんだから邪魔しないで。本なら自由に読んでもいいから!」
「邪魔なんてボクはしてない、ただキミを助けているだけさ。それよりナマエ、顔が真っ赤だよ」
「貴様ァ……!!」

もう怒った。
何も言わずに立ち上がり、私はそのまま指先に水色の光を集める。
そこまで邪魔をする気なら、力づくでも退いてもらおうか!

「あれ、課題はやらなくていいのかい?提出日明日なのに」
「そんなのどうだっていい。まずはあんたをこの部屋から追い出す!」

私はそう言うなりクルークと距離を取り、呪文を唱える。
ダイ・アキュート、アルルに教えてもらった魔法だ。

「あんたなんて、魔法で脳みそを融かされればいいのさ!ブブレイン――」

――瞬間、今度は私の言葉と表情が凍る。
えっ、ちょっ、どういうこと?
ク、クルークの唇が、私の唇にっ……

「ちょおおおおっ、ストップストップストップ!!どうしてこうなった!!」
「どうして、ってキミが魔法を放とうとしたから」

平然とそう言いながら、奴は悪戯っぽく……いや、嫌味ったらしく微笑む。
顔がますます熱くなる。今の私の顔はどうなっているのだろう。
見られたくない。
私がクルークから顔を背けると、彼はトドメにこう囁く。

「ナマエ、キミが好きなんだよ」


……やっぱり、私はこいつが嫌いだ。


「ナマエさんとクルークさん、課題はどうしたんですか?」
「「忘れました」」

終われ。
……………
自分が丁度この状況に追い込まれています。
理科ワークのノートを消失させ、残されたのはワークと答えのみ……
そんな状況で何書いてるんでしょう自分。駄文失礼いたしました!
……書きなおそう。うん。←

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