※現パロ・高校生設定


今日の授業も無事に終わり、このあいだ奮発して買った少し高めの長マフラーをぐるぐると首に巻いて学校から駅に向かう道を歩く。周りはもう暗くなってきていて気温もだいぶ低くなり、もう冬なんだと改めて感じながらゆっくりと歩を進めていると、誰かに後ろからマフラーを軽く引っ張られたので後ろを振り向く。周りが暗いから顔はよく見えないが知り合いだと言うことはなんとなくわかった。


「よう、みょうじ」

『……食満先輩?』


声の主は同じ委員会の先輩である食満先輩だった。先輩とはあまり多く話したことはないがすごく頼りになるということは委員会活動で把握済みである。


「そうそう。この暗い中よくわかったな」

『いや声聞けば誰だかわかると思うんですけど』

「…あー?そういうもんか…?…まあいいや。みょうじは今帰り?」

『そうでーす、どこからどう見ても帰りでーす』

「そうだよな、マフラーぐるぐる巻いてるし」

『なんですか悪いですかぐるぐる巻くのが好きなんですよ悪いですか』

「いや悪いとは一言も言ってないけど。暗いし途中まで一緒に帰ってもいいか?」

『別に構いませんが』


そんなこんなで途中まで一緒に帰ることになって他愛もない話を続ける。最近の授業は云々だとか朝布団から出たくなくて遅刻しそうになっただとか。それに食満先輩は自分が話すだけじゃなくて、みょうじは最近どうだ?って聞いてきてくれて凄く話しやすい。私は常に聞く専門みたいなところがあるが本当はお話するのだって好きなのだ。


「もう、駅か」

『そうですね、お話してたらあっという間でしたね』

「みょうじは上り?下り?」

『下りの○○線です。食満先輩は』

「上りの××線。だいぶ違うな」

『ですね、電車も同じだったらもう少し話せたのに』


駅に着いてお互いがどの電車なのか確認をしてみると電車が違うどころか上り下りも違ってここでお別れか、と少し寂しく思いどうせなら同じ電車でもう少しお話していたかったな、と軽く溜め息をついた。


「…………なあみょうじ、もしよかったらなんだけどさ、明日も一緒に帰らねえ、か?」


そうしたら食満先輩からそのような申し出があり思わず先輩を見上げる。見上げたら先輩と目が合い先輩は耳から顔を真っ赤にして、口元を手で覆った。その仕草によりどうして食満先輩が私なんかと一緒に帰ろうとしてくれているのかがなんとなくわかってしまい体温がぐんっと急上昇した。体が熱い。顔も熱い。今、私の顔もきっと赤い。


『……はい』


私が紡いだ返事は少し震えてしまい思わず恥ずかしくなってマフラーに顔を埋めて先輩から視線を反らす。ああ、もう。どうしてこんなに恥ずかしい思いをしなくてはならないの。それもこれも全部食満先輩が悪いんだ、私のせいじゃない!


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食満と初々しい話を、と前々から弥代たんから言われてたので今さら書いてみた。本当に今さら。




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