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最近親の再婚と言うものが起こった。母が父と離婚したのは私がまだ物心つく前でそれから私を女手一つでここまで育ててくれたのだ。先日母から再婚しようと思うの、と言われたときに私は何も言わず了承した。それは今まで一人で育ててきてくれた母への感謝だと思ったからだ。それから私の義理の父となる人に会ったがまあ普通に男らしい優しい良い人だったしそこまでは何も問題はなかった、何もなかったのだが。
義理の父となる人には前妻との間に出来た一人の子供がいて、その子は私の一つ年下、そして異性なんだと言う。つまりこの再婚によって義理の父だけでなく義理の弟まで出来てしまう。いや弟が出来ることは何も悪くないのだが今まで一人っ子だったのだ、自分がしっかりとした“姉”(この場合は義姉)としてちゃんと接することが出来るのかということが不安になる。まあ最終的には成るようになるとは思うけども。
「なまえ、この子がなまえの弟になる作兵衛くんよ。作兵衛くん、あの子がなまえ。仲良くしてあげて」
「……………はい」
ある日学校から家へ帰ると家には義父の姿はおらず、母と義弟となる男の子がいてその子の紹介を受けた。見た感じは凄くいかつくて、少し跳ねた赤茶が入った黒髪に、つり上がった目、しっかりとした体つき、身長は私より遥かに高い。まあ身長は私が150cmないから当たり前なのだが。
「なまえ、サン」
『…ん?』
ぎこちなく名前を呼ばれ目の前の彼と目線を合わせる。瞬間、私の体にびびびびっと電流が走ったような気がして、いやまさかそんなそんなそんな。ねえ。
「………これからよろしくな“姉”さん」
『……うん、よろしく、ね』
そう言いながら少しはにかんだ彼に心を奪われたらしい私はこれからどうしたらいいんでしょうか。
Hello, my brother!
(まさか“義弟”に惚れるなんて)
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続かない予定だったけど続いたので