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私と富松は連絡先を交換したあとすぐにその場を離れ、校舎へと戻り二人の迷子捜索を開始したのだった。それにしても次屋も神崎もどこにいるんだか。校舎内ぐるぐると歩きまわりながら軽く溜息をついた。
はっきり言って私は次屋や神崎のいそうな場所なんか知ってなどいない。その前にまず私は彼等とそんなに関わりがあるわけじゃない。なのに何故手伝おうと言ったのかというとただ単に雰囲気に飲み込まれただけなのだ。富松は何も言っていないけどあれは私も二人のことを探さないといけない、みたいな雰囲気であったように思う。わたしが勝手にそう思い込んだだけかもしれないが。とりあえず迷子捜索のアテは私にはない。さてどうしようかな、と思っていると視界にさっきの真面目系イケメン・浦風藤内が入ってきて私に話しかけてきた。
「あっ、ねぇ左門と三之助見つけた?」
『………ううん、見つけられてないや』
「そっか。はぁ、まったくあいつらどこ行ったんだか。あ、俺浦風藤内ね」
突然はじまった自己紹介に少し驚きつつ私も名乗る。まぁ浦風は私のこと知ってるんだろうけど礼儀として一応、ね。
『はぁ、みょうじなまえです』
「へー、君がみょうじさんかー」
……………え?
『ちょっと待って、浦風くん君私の名前を言いふらしてるみたいだから知ってるもんだと思ってたんだけど』
「…………ん?あぁ、名前は数馬に聞いて知ってたんだよー、んで誰なのか知ってる?って聞いてまわってただけー」
どうやら本当の原因はその数馬くんとやらにあるようだ。でもわたしその数馬くん知らないんだよなー、友達からも聞いたことないし。
『…………ちなみになんで聞いてまわってたのか聞いても?』
「あぁ、数馬が一目惚れしたって言うからー………っあ!言っちゃった」
……………え??
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藤内は無意識に口が軽いといいなぁ。そして数馬フラグ