犬飼隆文視点


最近夜久がやけに嬉しそうだ。それは休み時間に絡んだときもそうだし部活の方も調子がいい。原因は多分四月の頭に転入してきた女子にでも会ったからだろう。転入してきた女子については白鳥に聞いて知ってるけど見たことはない。けど学園の噂じゃあ夜久と並んでも見劣りしない容姿…なんだったよな。確かにそのレベルなら一度は見てみたいと思うけどなー、わざわざ星座科まで行くとなると絶対白鳥うっせぇし、そこまでして見たいって訳じゃねぇからとりあえずスルー。自然にエンカウントするのが一番いいだろ。って思ってたら、遭遇した。


『真っ暗なー世界から見上ーげた、夜ー空はー星が降るようでーいーつからだろうー君のことをー追いかける私がーいたーどうかお願いー驚かなーいでー聞いてよー私のーこの想いをー』


今日はなんだか無性に星が見たくなって屋上庭園に行ったんだ。そうしたら綺麗なソプラノの声が聞こえた。その場で辺りを見回すと前方にギターを片手に歌を歌っている女子がいた。あいつが星座科に来た転入生で、学園で二人目の女子。

そいつは俺が来たことに気づいたのか、歌うことをやめ、こっちを向いた。そいつの容姿は確かに夜久と並んでも見劣りしないと言われてもおかしくはなかった。夜久より小さい身長に細い手足。いかにも女子って感じがしてつい固まる。そして


『こんばんは。あなたも天体観測ですか?』


俺は話しかけられ、返事をする。何故だか緊張した。


「ま、まぁそんなとこ」

『ここは星が綺麗に見えますもんね』

「アンタも?」

『はい、私もおんなじです。でもこうやって星空見てると歌いたくなっちゃって、たまに来てるんですよ。さっきはお見苦しい歌を聞かせてしまい、すみません』

「いや、全然そんなことなかったけど。つかアンタ二年の転入生だろ?俺とタメだから敬語いらねーよ?」

『え、ホントに?』

「おう」

『じゃー敬語外すー。改めまして星座科二年に転入してきた瀬川昴でっす』

「俺は神話科二年の犬飼隆文な」

『犬飼くんね!覚えた!』


そうやって話ながら一緒に星を見る。瀬川は意外にも気さくですぐに打ち解けることが出来た。んで最近夜久が嬉しそうだったり調子が良かったりするのは瀬川のおかげなんだなと確信した。


噂のあの子


瀬川と別れてから、ちょっとしか聞けなかった瀬川の歌声を思い出す。にしても歌うまかったな。


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何故か犬飼のターン。曲は君の知らない物語です。犬飼のキャラちげーよとか言わないでくださいわかってるんで。





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