「“二回の表、西浦高校の攻撃は、4番サード田島君”」

「はーい!」





千代のアナウンスに元気に返事して、ボックスに向かった田島。超元気だな、あいつ。





「しゃあす!」

「あす!」






ボックスに入って構えたは良いけど簡単に追い込まれてしまった田島。俺の視界に入る阿部はすげー顔して田島を見てて、三橋は三星の投手を見てる。三星の投手って名前なんだっけな。あとで確認しとこう。そして田島に視線を戻した瞬間あいつはボックス内でステップし、バットを振ってボールを打ち上げた。





「ほらねーっ!!」





打たれたボールはレフトとセンターの間に落ちた。そして田島はいつの間にか二塁にいた。あいつ足速いよ。何者だよ。





「ツーベース!」






田島のやつ超笑顔なんですけど!いいなぁ二塁打!俺も打ちたい!無理だけど!





「どどっ、どーするっ」

「ナイバッチな、ナイバッチ」

「おし」

『俺もやる俺も!』

「じゃ天宮も一緒にやんぞ」

「せーのぉっ」

『「「「ナイバッチー!!」」」』





うぉおぉ!やっべ超楽しい!コレまたやりたい!





「つづけーっ」

「バッチおいしいよ!」

「花井!一本!」

『いけー!花井ーっ!』





ノーアウトランナー二塁、そして次の打順は花井!花井打つかな、それともバントかな。





「トライック」

「トライクツー!」

「ボール」





あ、簡単に追い込まれた。もしかして待ってる……とか?でも何を?とか思ってたら花井はバットを振った。しかし当たらず。





「“6番ショート巣山君”」

「おおっ」





そして巣山の打席。花井は少し落ち込んで帰ってきた。そこに監督が話しかける。





「フォークを待ってたスイングだったね。2−1からフォークって読みはわかる。ランナーいるとはいえここまで全部その配球だからね」





そ、そうだったのか!じゃあさっき花井はフォークを待ってたから、打たなかったんだ!てか全部その配球で大丈夫なのか、三星側は。





「で、フォークを待ったのはなんで?」





監督の鋭い質問に栄口や水谷を含めその場の空気が緊張した。聞かれた花井は少し小さめの声で答えた。





「……う、打てると思って………」

「ならいいのよ!」

「!」

「田島君のバッティングを見て“打てる”ってイメージを持てたんでしょ?ならフォークに絞っていいの!だけど今回は打てなかった。どうすれば打てるのか次の打席までに考えるんだよ!」

「はい!」





花井、そんなこと思ってフォークを待ってたんだ。そりゃ田島がああやって打ったから自分も打てるかもって思うのは当然だよな。俺は無理だけど。





「それからみんなも聞いて!」

「はいっ」

「田島君は飛び抜けた野球センスを持ってる。でもね、彼の持ってないものがあるの」

「え」

「なんだかわかる?」

「ええ?」





田島が持ってないもの……?頭?いや違うな野球関連で持ってないもの……あんの?





「それはね、大きな体、よ!」

『!』

「田島君は体が小さい。あの体格ではどんなにセンスが良くてもホームランは打てないんだよ。ホームラン打てないってことは、彼一人では点を取れないってことだよ。田島君はホントに頼もしい4番だけど、彼一人じゃ点は取れない。点を取るには、あなたたちの力がいるの!このこと、よーく覚えといてちょうだい!!」

「「「はい!!」」」






って、あれ。巣山帰ってきた……ってことは巣山の打席終わった!?監督の話に集中し過ぎて見てなかったよどうしよう!ごめん巣山!でも次は二回の裏で三星側の攻撃だ。さっき3番で終わったから今回は4番からかぁ、三星の4番て確かすっごい背が高かったような………気がする。





「ボォッ」

「ボォッ」

「トライク!」





ここまでの3球は全部見た。次は打つのか打たないのか。三橋が振りかぶって投げた4球目、4番の人は打ったがファールになった。しかし鋭い打球だったよ。見ててこわかったよ。そしてあっという間に4番の人の打席は終わり、5番6番も凡退でこの回は終了。いやぁ、まだ二回の裏なのにもう疲れちゃったよ。俺もうくたくたー。でもみんなの方が頑張ってるんだよな。まだ力は抜けないっ!





『みんなおかえりー!水分ちゃんと取れよー!』

「おー!天宮もベンチにいるからって気ぃ抜かねーでたまに水分取れよ」

『わかってんよ!』





二回終わって0対0
(はやく試合動かないかなーっ)





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やっと単行本一巻の内容が終わった……!にしても試合描写むずいよ。




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