銭湯から宿舎に戻ってきて、さぁ寝るぞーって思ってたら俺の携帯がなった。しかも姉ちゃんからの着信。もう消灯に近い時間だし、外出るか。


『ちょっと電話出てくる。先寝てていーよ』

「わかったー」


そう言って部屋を出て電話に出る。


『なに』

「“あ、棗起きてたー?なかなか出ないから寝てるかと思っちゃったじゃんかー”」

『いや、そろそろ寝ようと思ってたとこ。で?用件はなに』

「“あのねー、棗合宿に行く前になんか制服(っぽいもの)準備してたじゃない?”」

『あぁ、練習試合に行くときに私服じゃあ失礼らしいからね。で、その制服(っぽいもの)がどしたの』

「“棗、落ち着いて聞いてね”」

『ん?なに?』

「“その棗が準備してた制服(っぽいもの)さぁ、あたしの部屋にあるんだー。で、棗が持っていったのはあたしが一年のときに着てた制服っぽいもの。意味わかる?”」

『………は?じゃあ俺が持ってきたのは姉ちゃんの制服(っぽいもの)なわけ?え?俺間違えていれた……?いやいや俺間違いなくいれたよ』

「“うん。間違いなく入れてマシタ。お姉ちゃん見てたもの。でもそれじゃ面白くないからー、棗が寝たあと鞄から取り出してお姉ちゃんのやつ入れといた☆”」

『はぁぁああぁ!?』

「“つーまーりー、棗ちゃんは練習試合の時お姉ちゃんの制服(っぽいもの)を着るしかないって言うことなのでーす☆”」

『ちょっ、なんてことしてくれてんだ姉ちゃん!』

「“棗が男の子っぽい制服を着るのはお姉ちゃんが許しませんよ!ってこと!大丈夫大丈夫!棗はお姉ちゃんに似て可愛いからきっと似合う!ハイソもちゃんと入ってるしリボンじゃなくてネクタイにしたしカーディガンはわざとダボダボの入れといたし!あーぁ、お姉ちゃんも棗の可愛い制服姿見たかったなー”」

『……もうやだ………俺…終わっ、た……』

「“頑張って☆”」

『うっぜぇえぇえぇ』

「“用件はそれだけ!じゃ、ぐっない☆”」


プツッ。ツー……ツー……

姉ちゃんほんとになにしてくれてんだぁぁあ!?しかも語尾の星がうざさをより引き立てて…………これは新たないじめか?いじめなのか?そうなのか?とにかく俺………練習試合したく、ない……………

別に着るのは嫌じゃないんだけどサ、着たあとの周りの反応が、な?あいつらの反応が、な?

うぅうぅうぅう!


お姉ちゃんによるい・た・ず・ら☆
(姉ちゃんのことは嫌いじゃないけど)
(こればっかりはさすがに)
(キレたくなるって)


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本当はお姉ちゃんを出すの抽選会のときにしようと思ったけど、確か三星戦の終わったあと千代とか制服だったなぁ、と思い出したので棗にいたずらしてもらった。抽選会のときも棗にやらかす予定のお姉ちゃん。彼女の趣味は棗をとにかく可愛くすることです(笑)

そして電話してて阿部とモモカンの絡みは総スルー。でも電話しながら、あ、阿部と監督がなんか話してるーとかみてたら面白そう。




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