「さぁ棗ちゃん!戻ったら夕飯の準備するよ!」

『りょ、了解っすー』

「ん?棗ちゃんは料理とか苦手?」

『いや人並みには出来ると思いますけど……なんつーかさっきのがインパクト強くて』

「あぁ、さっきの?棗ちゃんは野球のことあんま知らないみたいだから見ててもらったんだけど…疲れちゃった?」

『いや、野球て奥が深いんだなぁとしみじみ思っただけっす!』

「そっか!」


監督とそんなことを話ながら宿舎に帰った。そして他の奴等が採ってきた山菜を洗い、調理出来るように準備し、みんなで揚げはじめた。んで、俺は監督と千代と一緒に汁物に入れる具を剥いたり切ったりしていた。ちなみにご飯は千代が炊いてくれていた。ありがとう千代!


「棗ちゃん包丁使うのうまいね」

『いや人並みだと思うけど。そんなこといったら千代だってうまいじゃん』

「えー棗ちゃんのがうまいよー」


なーんて褒めあいをしていたら田島がつまみ食いをしようとして手を伸ばしたところ志賀に指を箸でつままれ止められていた。


「つまみ食い禁止で!」

「ハシ上手ー」

「お行儀の話じゃないんだ、みんなも聞いて!」


そうして志賀の話が始まった。スポーツをするのに重要なホルモンは3つあって、未来に集中しているときに活躍してるホルモンと現在集中してるときに活躍してるホルモンと過去に集中してるときに活躍してるホルモン……だっけ?チロなんとかとコルチなんとかとドーパミン。ちなみに俺は包丁使ってるのであんまり真剣には聞いてないけどもう頭がパンパンである。頭弱いんだよねー、俺。監督は聞いてるみたいだけど。


「やれる!と思えること!やる!と集中すること!やってよかった!と満足すること!これは案外難しいよ。そうしろと言われたからってできるもんじゃない。───ただし、あるモノに関しては3つともすごく簡単にできるんだ」


それが食事か。ふーん。


「食事の前!オレはコレをおいしくたべられるーって期待する!食事中!うまいっと思ってる間は食事に集中してる!食べ終わって!あーうまかった!と満足感を味わう!これでチロトロピン、コルチコトロピン、ドーパミン、全部活躍したよ。山菜摘みもつまみ食い禁止も食事に集中するための工夫なんだ!」


へー、と志賀の話を聞き流しながら調理する。あ、もう少しで出来そうだ。


「よし、そろそろ出来るね!じゃあお皿に盛って運びましょ!」

「はい!」

『へい!』


そしてはじまった食事の時間。みんな席につき今日の夕飯を眺めている。食べる準備は万端だ。


「うまそう!」


志賀が言い出した。そしてみんなもあとに続く。密かに俺も言ってみたり。


「「「「うまそう…!」」」」

「うまそう!!」

「「「「うまそうっ」」」」


みんな涎が垂れてだらしないが仕方ない。だって本当にうまそう……!


「うまそう!!!」

「「「「うまそうっっ!」」」」

「いただきます!」

「「「「いただきますっ」」」」


そして山菜の天ぷらに手が伸びる伸びる。あんまりにもみんながガッツガツ食べるので少しびっくりした。成長期の高校男児てすごいね(いろんな意味で)

にしてもすげー美味しそうに食べるなこいつら。俺もはやく食べよ。


いただきます!
(おっ、天ぷらうまい。幸せっ!)

(………なぁ天宮すげーうまそうに食ってるぜー)
(まじだ)
(天宮さ、ん、なんかっ、幸せ、そう、だねっ)
((((((確かに))))))


--------------------
らーぜにまざって食事とか楽しそう




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -