「蓮二ってほんとに俺に甘いよな」


唐突に、精市がそんなことを言い出した。
部員のデータを書き留めていた手を止め、精市を見る。


「なんだ、甘やかされている自覚があったのか」
「蓮二こそ、甘やかしてる自覚があったんだね」
「まあな」


しかし、精市に甘いのはなにも俺だけではない。
うちの部員は総じて精一に甘い傾向がある。
あの弦一郎でさえも精市には甘い。
逆らえない、という部分があることは否定しないが。


「いいの?達人とも呼ばれる参謀が、部長を甘やかして」
「お前こそいいのか?神の子とまで呼ばれる男が甘やかされて」


部員たちは皆、精一には甘い。
これは事実だ。
しかし、その中でも特に俺は甘い。
これも事実だ。


「俺は、来るもの拒まずだよ。蓮二」
「そうか。ならば俺も遠慮なく甘やかしていこう」


愛だの恋だの言うつもりはないが、惚れた弱み…というものに近いものかもしれないな。






バランス



(好きだから、甘くなる)




2012/03/05


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「見えない臓器の名前は」
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