「幸村」
「なに?真田」


幾度となく繰り返してきたこの言葉。
出会った時から、今日この日まで。
なんどもなんども。
俺たちは、互いを呼び合う。


「ねえ、真田」
「何だ、幸村」


昔は、テニスの話ばかりしていた。
もちろん、今もそれは変わらないけれど。
でも今は、話すことがたくさんある。
家族のこと。
学校のこと。
勉強のこと。
部活のこと。
仲間たちのこと。
たくさん、たくさん。

だけど。


「さーなーだ」
「何だと聞いているぞ、幸村」
「ふふ、真田って呼びたかっただけ」


ただ、名前を呼びたいし、呼ばれたい。
そんな時もあるんだ。






名前



(お前も呼んで?)




2012/03/05


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