「ねぇ、春、」
「何?」
「今、シアワセ?」
突然何を言い出すんだろうかこの子は。
「何だよ、いきなり。」
「別にー?今春がシアワセなのかなーって思ったから訊いてみただけで。」
ソファーにうつ伏せで寝転んで板チョコを丸々一枚かじりながらそう言う彼女は当たり前ながら色気なんて高等なものを持ち合わせてるわけもなく、けれどそんな彼女が愛おしく見えてしまってる自分がいたりして、よくわからない自己嫌悪。こら、足バタバタさせんじゃない、パンツ見えるよ。だいじょーぶガード済みだから。…もういい(なんで俺こんなのと付き合ってんだろ、)可愛さというか幼さの方が勝っているその背中。
「夏は幸せ?」
「あたしはねぇ、春がしあわせなら充分しあわせなの!」
ありがちな、吐きそうなほど甘い科白だけど、君が言うと、愛しくしか思えなくて、
(ああ、抱き締めたい かも、なんて、)
「俺今、超シアワセ。」
「そ?よかった。」
シアワセの定義。
(コレで君のシアワセは保障されるはずだから)