今日は朝から忙しなかった。俺の誕生日だから、だろう。家の者たちから祝わってもらって、学校へつけばまた下駄箱から、ロッカーから机の上に手渡し、廊下を歩いていればいろんな子がお誕生日おめでとう、と俺に言ってくる。それらに笑顔で感謝を述べプレゼントを逐一車に運ぶ。このペースで果たして、台車三代で足りるだろうか、 「お、千秋院!今日誕生日なんだってな、おめでとー!」 『ありがとう、君からも誕生日祝ってもらえて嬉しいよ』 「相変わらずだなあ、ま、いーけどよ。しっかしそのプレゼントの山々山!うらやましい!俺にわけろ!」 『はは、それはできない相談だな、ところで雷門さん知らない?今日中に渡さなきゃいけない書類があるんだけど見あたらなくて、』 「雷門?んー、悪い今日は一回も見てねえなあ」 『そっか、忙しいのにありがとう、それじゃあ』 「おう、またな」 手を振って別れる。思わずため息がでてしまう。今日の朝雷門から渡された書類、無茶ぶりには慣れてる、ああ慣れてる、だがおかしいだろどこにいるんだ、頼んでおいてこれか 『、ん?栗松に壁山?部室で何やってるんだ?』 「?!セセセセセ千秋院センパ」 「ひいいいいなんななななんでもないっス!セセセセセセンパイこそ何やってるんっスか?!」 『…雷門探してるんだ、書類を確認してもらいたくてね』 怪しい、が、聞かないでおこう。この間からサッカー部員の様子がおかしいのは気がついていたし、俺の予想があたっているなら、まあ、問いただすのは無粋ってもんか、 「ちょっと待ってて欲しいでヤンス!」 『うん、ゆっくりでいいよ』 部室から和気藹々と準備してる声が、聞こえる。嬉しさか悲しさか、わからないけれどなんだか無性に泣きたくなった。 「千秋院くん?」 『、雷門か、これ頼まれてた書類終わったからサイン欲しいんだけど、』 ちらりと部室を見てから苦笑いを零す。 『まだ、かかりそうだね』 「ええ、だから放課後、いいかしら」 『わかった、それじゃあ』 「また」 これからのことを想像するとなんだか笑えてきたのはきっと、俺が思ってる以上にこの場所が好きなんだろう、くしゃりと紙を握りしめた。さて教室に帰ろう、ゆっくり向きをかえてから振り向く。いつも見慣れた部室が飾り付けによってかわっていく、柄じゃないかもしれないけど、こういうの嫌いじゃない、なんて 凾ミとくちぶんの青春 Happy Birthday!Tatsuhiko!! |