『あーあ、新品のスーツなのに、』


べっとりとついてしまったじゃないか、嗚呼、汚い、ゴミを見るような冷え切った目で龍彦は相手を見る、名前は、なんだったか、まあ、覚えていたとしても意味はないのだが、


「あ、あ、あぁ、」

『キレイにして、意味わかるよね?』

「ふ、んん…やあ」


小さく首を振り涙をボロボロ流す、汚い、けれど、ぐいっと襟だったものを掴んで顔を引き寄せ耳元に口を近づける、

『舐めろっつってんだよ』

顔は見えない、けれど今相手の顔はきっと怯えきっているのだろう、そう思うと龍彦は笑わずにはいられなかった。


『はやくしてくれないかな、僕は忙しいんだ』


痺れを切らした用に、今にも怒りだしそうに言う、そうすればヤツは龍彦の思惑通りゆっくりスーツについた液体をキレイにするため動く、


「ん…っ」

『そんな丹念に舐めてコレ美味しい?顔真っ赤にしてとんだ変態だな』
「ちがっ」
『誰がやめろって言った?ほんと、学習しないな、』

髪の毛を掴むと手足を振り回して抵抗する、なんと煩わしいことか、思い切り床に押し付け呻き声をあげるヤツの腹に一発蹴り込んだ。衝撃から苦痛から咽せ、顔を歪め、龍彦を思い切り睨む。その威勢に満ち溢れた顔が絶望一色にかわると思うと楽しくて仕方がない、



『時間か、また来るよ』


ここにいて正常に保っていられるのなら、ね


刮エがいくらキレイだからって心までキレイだと思った?



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