39.ミツバ編1
「お茶です」

「あら可愛らしいお嬢さん。こんにちは」

「こんにちは」


朝から真選組隊士の親族が訪れるとのことで少しソワソワしている隊士をみかけた。来客した方を見た時、浮き足立っていた理由がわかった。大変美人でお淑やかな人。沖田さんに似ているなって最初は思ったけど、正真正銘、沖田さんの実姉なのだ。


沖田さんって中性的でかわいらしい顔してるしなー、あ、こうやってみるとそっくりだな、この姉弟。そんな綺麗な人に「可愛らしいお嬢さん」なんて言われて、お世辞だとしても嬉しい。



沖田ミツバさん。


なんでも近々結婚をするらしくその挨拶周りやら準備やらで遥々江戸にやってきたらしい。こんな綺麗な人をお嫁さんに貰える人は大変幸せだろうな、弟はクソだけど。



私は近藤さんの隣で座りながら話を聞いていたら、爆発音と共に複数の隊士の屍が吹き飛ばされてきた。


絶対沖田さんだ。あの人剣の腕は確かなのにバズーカ愛用してるもんな。


「おーう総悟やっと来たか」

「すんません。コイツ片付けたら行きやすんで」


ほら沖田さんだ。

覗いていた山崎さんの息の根止めようとしているもん。


「そーちゃんダメよ。お友達に乱暴しちゃ」


ミツバさんの一言でこっちを睨んだ沖田さん。お姉ちゃん相手にそんな睨まんでも...


「ごめんなさいおねーちゃん!!」

「「ええええええ!!」」

「ワハハハハハ!相変わらずミツバ殿には頭が上がらんようだな総悟」


スライディング土下座をした沖田さんは頬を赤らめながらミツバさんに頭をヨシヨシされている。私と山崎さんは、口を開けてポカーンとしてしまった。



「お久しぶりでござんす、姉上。遠路はるばる江戸までご足労ご苦労様でした」


いやいや、え?あれがあのドSバカの沖田さん!?


キャラ違いすぎでしょ...


ミツバさんを江戸の街を案内してやれとの近藤さんの案で本日休みになった沖田さん。今まで聞いた事の無い大声でお礼を言い、ミツバさんの手を取り部屋を出ていった。



「局長...なんですかありゃ」

「アイツはなァ幼い頃に両親を亡くしてそれからずっとあのミツバ殿が親代わりだったんだ、らアイツにとってはお袋見てーなもんなんだより今日くらいいいだろう。男にはああいうよろいの紐解く場所が必要なんだ。特にアイツのように弱味を見せずに片意地張って生きてる奴ほどな」


たしかに沖田さんは私と1つしか違わないのに、すごい大人びている。一体どれだけの重荷をあの背中に背負っているんだろ...。あの人はきっと私には弱味も重荷も見せてくれないだろうけど...。



「なるちゃんもごめんな。今日休みでしょ」

「全然大丈夫ですよ。ケガして仕事出来ないときもあったし、その穴埋めです」

「そうか!でも今日ももう休んでいいぞ!」

「ありがとうございます」


あ、やべ、銀ちゃんにパフェ奢る約束あったんだった。私は財布を持って屯所を飛び出した。





________
_____



「ちょっとなるちゃん、銀さんにパフェ奢ってくれるはずなのになんで遅れて来てんの?」

「さっきまで仕事入って...ごめんって謝ってんじゃん」

「まぁいいけどよォ」


ウザい。この前のお礼でパフェ奢るなんて言わなければよかった。


私はこの前、高杉たちとの戦いのときに助けてもらったお礼にと、銀ちゃんにパフェを奢ることにしていたのだ。


「なんでファミレス?もっとさぁ、高級のさぁ...」

「文句言うなら自分1人で...あ...」

「どうしたなるちゃん、あ...」

「沖田さん...」







波乱の幕開け
(なんでここに...)(そちらこそ...)

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