35.柳生篇2
「なるはどこにつけるアルか?」

「無難にお腹でいいかな」

「7:7になってしまったが、7:6だろ、これ。なるちゃん剣使えないんだよ!?」

「はぁ!?ゴリラてめ、何い「銀ちゃん!」」



あのあと、お妙さんを取り戻すべく、柳生流のルールにて勝負をすることになった。木刀をパクってきたおかげで私も、門弟とみなされ、皿割り勝負の一員になってしまった。


銀ちゃんが私が剣を使えることを言おうとしてたため私は名前を呼ぶ。銀ちゃんは「んだよ、お前」みたいな目で見ている。


「え?万事屋なんて?」

「なんでもないですぅー」



私たちは勝負の的になる皿をどこに付けるかを論争していた。沖田さんと銀ちゃんは1枚ずつ土方さんの目につけることにしたらしい。


ドSコンビ怖っ



「銀ちゃーん!なる!私スゴイ事考えたアル!足の裏コレ、歩いてたら見えなくネ?コレ?これなら絶対気づかれないアル!」


いや、それ歩いたら割れる。


キャッホォォォォイって言ってる場合じゃないよ、神楽。


案の定、歩きだそうとした途端、綺麗な音をして割れた皿。神楽はそれを誤魔化しているけど、誤魔化しきれてない。皿が割れたことに対して慌てる銀ちゃん、近藤さん、新八くん。皿を取り替えてもらうように言ってる中、土方さんが作戦を立てるが、沖田さんと銀ちゃんは作戦を聞かず、勝手に単独行動をしていく。



私は役立たずと見なされ、動かない方がいいと言う結論に至り、今居る場所に留まるようにと言われた。土方さんと神楽、近藤さんと新八くんのコンビで行動することになって、私の元を離れていくみんな。


ってか沖田さん、さっき私のこと守ってくれるって言ったのに...。



「はぁ...」



開戦の狼煙も上がったけど、私は動かない。土方さんに怒られる。


でも1人だと色々考えられるな...。刀を握ったこと人を斬ったこと、しっかりゆっくり考えないと...でも、今はお妙さんを取り戻すために刀を握ろう。




「ここに1人居ましたか」

「...っち!」


誰だよ、動かない方が安全って言った奴...土方さんなんだけどさ。


「君だけ弱そうだね」

「すみませんねぇ...」


あの6人に比べて私は実力的にも精神的にも弱い。


「お前を倒して私は若に認めて貰うのだ!」

「たかが1番弱そうな奴選んで倒してイキがっても認めて貰うのは無理なんじゃないですか?」

「貴様ァ!」


名前もわからない柳生一門の人。これがここの道場の流派。でもきっと...ううん、この人は弱い。私は突きのみで攻撃してくる一撃一撃を木刀で流しながら反撃のスキを探る。にしても、この人の攻撃、軽いし遅い...。


中々攻撃が入らないことに焦ったのか、リズムが崩れた。私はその隙をついて、1歩で相手の懐に入り、木刀の柄で胸に付けられている皿を割った。



「女、舐めんな」



私は呆気に取られている人をひと睨みし、みんなを探しに行った。





______
___




私は土方さんと神楽が歩いていった方へ足を向ける。屋敷は広くてなかなか見つからない。でも絶対ここで戦ったであろう痕跡を見つけ、私は襖が破れている屋敷の中へ足を踏み入れた。



「え?沖田さん!?」



屋敷の中で見つけたのは、額につけた皿が割れ額から出血しぐったりとしている沖田さん。隣には柳生一門の人が倒れている。あの沖田さんが相打ち?そんな、馬鹿な。


私は沖田さんの脇に腕をいれ、敵から離れた所に移動させる。私はポケットに入れていたハンカチを使って沖田さんの額の血を拭う。相当派手にやられたんだ。


私は近くに水道を見つけハンカチを濡らしもう一度沖田さんの額の傷を拭く。


「...誰でィ」


沖田さんの手が私の手首を掴む。顔を覗き込んで手当をしていたため、目を覚ました沖田さんとの距離が近い。あ、目が合った...


「なるか...なんでここに?」

「沖田さん誰にやられたんですか?」



私は沖田さんの質問には答えず、質問を質問で返す。


「俺の質問に先に答えなせェ」

「1人だと寂しいからですよ。私1人残してみんな行くんですもん。あと沖田さんも私のこと守ってくれるって言ったくせに、1人にして」



なんて思ってもないことを息継ぎなしで少し強めの口調で言う。


ま、守ってくれるって言ったのに1人で何処かに行ったのはムカついたけど...。


「悪ぃ...」

「...素直ですね」

「うるせェ。お前ここにくるまで無事だったのか?」

「うーん、1人皿割ってきましたよ!下っ端でしたけど」

「へぇー」


少し驚いた顔をする沖田さん。


「暇な時教えてやってもいいですぜ」

「え...」

「剣術...。おめェは色々と事件に巻き込まれすぎでさァ。俺が居ねぇとこで、いっつも怪我ばっかしてるしな」

「っ...、ぜひ、教えてもらいたいです!」


沖田さんが私に稽古付けてくれるの?え?朝稽古にも出ない沖田さんが?


「剣術教えてやりゃー、俺に守られてるみてぇーだろ?」

「...そうですね!」



剣を教わることで守られてる気分か...ふふ、楽しそ。








終わったあとの約束
(結局誰にやられたんですか?)(...チャイナ)

[ prev next ]
Back to top

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -