私と五条を包む結界のようなもの。
まるで帳のような...
呪霊が攻撃してきても私たちには触れず見えない壁に阻まれていることにイライラしてきているようにも見える。


「お前...」
「五条...アイツ、私に殺らせて」


私の後ろにいる五条に振り向きそういう。今の私の状況がイマイチ分かってないけど、今なら目の前の呪霊も祓える気がする。


私は呪霊に向けて掌を向け、焦点を合わせ力いっぱい拳を作る。拳を作ったと同時に呪霊の胴体の部分に動きを止める結界が現れ勢いよく爆発する。


「は、祓えた?」
「一応な...」
「よか...った」


安堵した瞬間、身体中の力が抜けて、呪霊が消え去る姿がぼやけていく。

やば、これって呪力切れってやつ?


消えゆく視界の中、五条が私の名前を呼ぶ姿を
捉え完全に意識をシャットアウトした。






ーーーーーー




任務は一応成功。
私が倒したのは2級呪霊。呪いを放っていた主が私が倒した呪霊だった。私が意識を飛ばしたあと五条が私を俵担ぎにし、残りの呪霊の後始末をしたと補助監督さんに教えられた。


せっかく1個借りを返したのにプラマイゼロじゃんか。


結局あの後硝子の治療をうけ、私は一日中寝ていた。起きてから報告書の書き方とお礼を言おうと五条を探したが、五条は立て続けに任務が入っているらしく、会えず終い。


夜蛾先生に明日までには提出しろって言われたんだけどな。


傑にでも書き方聞こうかな...。


なんて寮の談話室でカフェラテを飲みながら考えていたらこちらへ向かってくる足音を拾う。


「あ、」
「何やってんだよ」
「お、お疲れ...」
「おう」


何故か沈黙が私たちの間に流れる。


「あの五条!この間の任務気を失ってごめん」
「ほんとだよな。おめぇ重いしよ、呪力切れってバカじゃねぇの?」
「うっ...」


そんなこと言わなくていいじゃん。ってか女の子に重いはデリカシーない。


「それだけ?」
「それだけ...あっ!報告書の書き方教えて!」
「そんなの適当に...提出日いつまで?」
「明日」


五条は報告書の提出日が明日までと知るなり自分の部屋へ行き報告書を持ってきて私にやるぞといって、食事を食べるテーブルに座る。


あ、自分のも書くついでに教えてくれるんだ。

私も五条の目の前に座り正直上手いとは言えない五条の報告書の書き方の説明を聞きながら、報告書を書き上げたのだった。


「疲れた...」
「なぁ、お前の術式さ初めて会った時も使ってたか?襲われたとき」
「た、多分。何が何だか分からなくて」


五条は初めて会った時のことを再度聞き、小さなか声でボソッと何かを言ったが小さすぎてよくは聞こえなかった。


「お前の術式は恐らく結界術の1種な、でもだいたい結界術はどっちかに特化してんだよ」
「どっちか?」
「そう、守るか攻めるか...多分お前のはどっちかと言うと前者な」
「守るほう?」
「多分攻める方には莫大な呪力を使ってこの間みたいにぶっ倒れる」



え、それってつまり祓うのにむいてないってこと?死ぬまで呪術師の仕事は全うしようとは思ってるんだけど。


「んで、お前のその術式、定かではないが何らかの縛りでお前が危ない時勝手に発動するようになってる」


え??


「この間お前が俺を庇った時に、六眼でみたから間違いねぇ」


縛りって術者が己に科すものだよね?私が縛りを科してたの?でもいつ?


初めて使ったといつあ発動したのはこっちに飛ばされたとき、でもその前って事は、私が呪霊に殺された時しか考えられない。その時は呪霊も呪力もなにも知らない。でも死ぬ前に私の中にあった術式が発動し、縛りを科したのならあえりない話ではないだろう。


「これで弱っちぃからってすぐに死ぬことねぇな」


五条はニヤッとして私をみる。


「お前のこと弱っちぃけど認めてやるよ」
「は?」


認めてなかったのか。まぁ五条は弱いやつは知らねぇ、関係ねぇ、強いやつしか興味ねぇみたいな性格だもんね。


「その術式使いこなせるようになれよ、沙菜」
「え!?」
「名前呼ばれただけで顔赤くしてんじゃねぇよ、ばーか」


五条は報告書で私の頭を叩き、自室へ帰っていくのであった。



性格はクソだけど、イケメンからの名前呼びはヤバいし、さっき顔近かった...。


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