私が目を覚ましたのは高専の医務室だった。 五条と組手をしていて、投げ飛ばされて頭打って意識無くしたんだった。


でもあの時の五条、機嫌悪くなった気がする。ほんの一瞬だったけど。


「おい、起きたんなら行くぞ」
「うわ、五条...ってかどこに?」
「任務だよ、俺とお前で」


なんかさっきの件もあるし、少し気まずいな。
死にたがりって思われたかな?でも1回死んでると思うとやっぱ生きるのが怖いし、なんならこっちの世界の人間ではないと少しでも思うと、今仲良くしてくれている硝子や傑、助けてくれた五条とこれ以上仲を深めて大丈夫なのだろうか?ってふとした瞬間に思うことあって、訓練とかも考え込んでしまう。


「大丈夫なら行くぞ」
「うん」


ってか訓練とかしてるんだけど、未だ私の術式はよく分からず、呪力もほぼないに等しい。


五条の眼がそう言ってるならきっとそうだと傑が教えてくれた。



補助監督の車で現場に向かうまで私と五条の間に会話はなく、補助監督が話す現場の状況を教える声だけ。


「着きました」


場所は、小さな廃屋。


なんでこんな所に。というかここ、何処かに似ている。


「黒木、今日お前が祓えよ」
「え?」
「手伝わねぇから」
「ちょっ」


たしかに補助監督は3級の呪霊と言ったし、五条は入学から特級に限りなく近い1級呪術師というのを聞いたから3級なんて雑魚の雑魚だもんね。


むしろ私も雑魚ですもんね!


帳を降ろされて、廃屋の中へ2人して足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。


「ッチ、誰だよ、3級とか言ったやつ...」
「え?3級じゃないの?」
「良くて2級、悪くて1級だな」


1級..
そんなのほぼ一般人って比喩った私が祓えるわけないじゃんか!


「黒木お前は祓えるやつどけ祓っとけ」
「わ、わかった」


どうやって祓うかイマイチわかんないけど、とりあえずやってみる。


きっと襲われた時の結界みたいなのが私の術式なはず。


廃屋は独特な匂いと雰囲気があり、そこに呪霊が複数いるのだから気持ち悪い。


「大丈夫、大丈夫...」


私は小さく自分を安心させるために呟くも、呪霊は待ってくれない。


「...っ!」


落ち着け...!


私が相手してるの3級か4級で知性もなにもない。
それなのに私はなにも出来ない。


「黒木...っ!」


五条が私の名前を呼び腕を掴み引き寄せる。
五条の術式が私の目の前にいた呪霊と後ろに迫っていた呪霊を祓いのけた。


「あ、ありがとう...」
「ボケっとすんな、死ぬぞ」
「う、うん」


これで2回目だ。
五条に助けられたの。


廃屋は2階建てで1階部分の呪霊は祓ったが、まだ呪霊の気配はする。


あ、わかった。ここ、私が通学路で通る道にあった廃屋に似てるんだ。たしかにあそこを通る度に嫌な気配がまとわりついてきて、違う道を探したりもしたもんな。なかったけど...。


2階にあがるにつれ、呪いの気配が濃くなる。なにこれ、気持ち悪い...。


五条が2階の奥部屋の扉を開けたと同時に呪霊が飛び出してきた。


「ご、五条!」


勝手に身体が動いた。五条なら五条の術式、無下限で攻撃なんぞ受けない。でもそれでも頭で分かっていても、身体は勝手に動くもので...


私は五条の前に飛び出していた。



殺られると思い咄嗟に目を瞑ったが、一向に痛みはない。うっすら目を開けると、五条に会う前に私を覆っていた結界が私と五条を包んでいた。






prev next

Top
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -