硝子さんの治療を終え、私を家へ送っていくというスーツの人が言ってくれたが、私がここの世界の人間ではないのであれば、私の家はここにはない。


「あ、あの...」
「あぁ?」


私を助けてくれた人イケメンだけど、ガラ悪すぎない??


「私、家ないし、家族いないです...」


なんか、辛くて語尾がどんどん小さくなる。


私の言葉を聞いた3人は触れてはいけないことを聞いてしまったという雰囲気を醸し出している。


いや、本当に申し訳ないけど、こればかりは本当なのだ。


「お前、高専くれば?」
「五条...」
「ま、弱っちぃからすぐ死ぬだろうけど」


高専...とは?


確かに私運動神経そんなに悪くない人並みだし、何するかわからないけど、もう1回死んでるだろうから、別にすぐ死のうがどうでもいいかな。死ぬまで生活できる場所があれば。


「死んでも大丈夫です。悲しむ人なんて誰もいないですし、死ぬ時までの衣食住できる場所があれば」


その言葉に硝子さんとイケメンさんこと五条さんは目を見開いて驚いていたが、2人ともニヤッと笑って私の名前を聞いてきたので、黒木沙菜と答えた。


後々聞くとあの時ニヤッとしたのはイカれてる奴と思ったからだと高専に着いた時硝子さんが教えてくれた。


スーツの男の人が運転する車に乗って呪術高等専門学校へ向かっていた。


「ってか五条。沙菜のこと一般人って言ってなかった?高専に誘うってことは呪力とかあんの?」
「あ...あぁ、ごく微量にな...」


呪力?
というか五条さんにさっきの化け物のこととか聞いてない。


「あの、呪力って...」
「あぁ、それは後で話すよ」


私たちが向かう高専は、都内から離れ郊外にあるらしい。山奥。東京にもこういう場所があるんだという、場所にあり、寺院やら仏教を彷彿させる建物がたくさん建っていた。


敷地広いなー。


「悟、硝子、お疲れ様」
「おー」


2人に声をかけてきたのは今どき珍しい、ボンタン風になっているズボンを着ている、これまた身長が高い男の人。


前髪...イケメンなのに胡散臭そう...


私が抱いた第一印象はそれだった。
初めて会うのにそんなことを思ってしまってごめんなさいと心の中で謝っておく。


「君、失礼なことを考えてないかい?」
「いや、そんな、前髪特徴的で、笑顔が胡散臭そうだなんて...あ...」



やってしまった...


さっき思ったことを目の前の人にそのまま言ってしまった。全身の血液が引いていく気がして背筋が凍る。


「おま、マジか!最っ高!」
「悟...」
「いや、俺も傑初めて見た時前髪の印象強かったわ」


盛大に笑い、私の背中をバシバシ叩く五条さん。
力つよ、背骨折れてない??


「傑、こいつさっきの現場にいたほぼ一般人に近いこっち側の人間」
「なぜ高専に?」
「家も家族もねぇ。死に場所探してるから」


合ってるっちゃ合ってるけど言い方。


というか五条さんってさっき私の怪我を心配してくれた人と同一人物なのだろうか?
二重人格?


「五条は元々クズだから沙菜のこと心配してたのはほぼ幻のようなもんだよ」
「なるほど...」


にしても私は勢いよく着いてきたけど、やって行けるのかな。ううん、やるしかないんだから、覚悟決めろ。


「黒木さん、こちらへ」


黒スーツの人が私を呼ぶ。きっと入学手続きとかなのだろうか?


「人体実験されねぇよう気をつけろよ」
「じ、人体実験...」
「いや、こんな少ない呪力の人間実験する意味もないだろう」


五条さんと傑さんが平然と喋っている単語に私は気が気じゃない。人体実験なんてこのご時世やってるところなんてあるの?まぁ、あんな変な化け物いるから仕方ないか。


私は少し不安を抱えながら黒スーツの人について行くのだった。





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