異形の生き物、基、化け物に襲われ血塗れになりながら意識を飛ばしたら教室とは違う場所に私はいた。

目の前に広がるのは、よく見れば私を襲った化け物とは違う化け物が複数いた。あの時私は死んだはずだ...なのになぜ千切られ、引き裂かれた手足は元通りにあり、潰された喉からは空気が漏れ出す音は聞こえない。五体満足の状態。


先程の出来事が夢なのか、今目の前に広がっている光景が夢なのか...いや、どちらも夢じゃない。それだけはわかる。


そして私の制服に広がる赤く広がる私の血液。これはきっと最初に襲われた時のもの。


逃げたいけど、あの時みたいに身体が動かない。ニタニタ、ケタケタという擬音が似合うであろう顔で近づいてくる化け物たち。あぁ、またここでも私はこいつらに襲われて死ぬのかな。


私は諦めて地面を見つめるが、一向に痛みはやってこない。


ふと顔をあげると、私の目の前にはいるが見えない壁があるかのように私に触れることができず、もがいている化け物たちがいた。


ナニコレ...


何が起こっているか分からないまま化け物がもがいているのを見ていると、地響きとともに目の前にいた化け物たちが吹き飛ばされていた。


いやいや、また何がおこったの?


「こんな所に一般人がいるなんてきいてねぇぞ」


少し嫌味を含んだ男の人の声が私の耳に届く。さっきまで私を守るように覆っていた壁の気配は無くなっており、変わりに目の前に現れたのは少し青みを含んだ白髪と黒いサングラス...そしてそのサングラスから覗く蒼い綺麗な瞳に全身を黒い学ランのような服を見に纏った少年、いや青年?


うわ、イケメンだ。


つい先刻まで2度目の死を覚悟していたのに目の前に現れたイケメンを目に、違う意味でドキドキしている。こんなイケメン、テレビの中でも見たとこない。新種のアイドル?俳優?え??これなんかの撮影でした!?


「おい、...お前...」
「え...」


男の人は私の制服についた血をみるなり、私の手を掴み立ち上がらせる。


私の腕を掴みながら片方の手で取り出しのは携帯。


え?こんなに若いのにガラケー?


「あ、硝子?待機場所にいる?一般人が怪我してるぽいからみてほしいんだけど」


硝子と呼ばれる人に電話をしているようだった。


ってかこの人、身長デカイな?やっぱモデルなのか?


「おい、お前、さっき何か見たか?」
「...変な化け物ですか?」
「...あぁ」
「あの...さっきのアレってなんたんですか?」


きっとドラマの撮影ではないことは薄々気づいてた。だってカメラないもん。


「ケガ治したら教えてやるよ」


男の人は私の腕を離し、目の先にいる茶髪ボブの泣きぼくろがセクシーは女の子を指さした。良くみたら男の人と似たようなデザインの服を着ているから制服なのかな?


「硝子、こいつ」
「すっごい血塗れじゃん...痛くないの?」
「いや、血塗れだけど、傷はないはず」
「は?」


痛くないし、なにより手足がくっついてるからお腹の傷もないだろう。
私は制服をめくりお腹を硝子さんに見せる。


「ホントだ、ウケるな。ま、一応襲われたから治療はしてあげるよ」


硝子さんは少しイタズラな笑みを浮かべながら私を治療してくれた。


不思議な力だった。癒されているというのがわかる。


治療している間、私は一体どこにきてしまったんだという不安に襲われ思わず泣いてしまった。


「まぁあんなの見たら普通に怖いよな」


と硝子さんは言っていて、違う世界からきたからなんて言えるわけなくて、私はうんと頷くしかなかった。








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