「沙菜、お前いつあのクズと付き合ったんだ?」
「え?」
2日ぶりにあった友人に言われた一言。
クズ?え?付き合った?
「ごめん、硝子。クズってどっち?」
硝子がクズというのは五条と傑。そのどちらかと付き合った?
「五条だよ。夏油が日曜、五条の部屋で五条のパーカーを着て顔を赤らめ涙目で悟に苛められていたって昨日アンタらが任務言ってる時に話してくれたよ」
日曜、五条の部屋.....
「お、顔赤くなった」
ボンっという効果音が似合うほどの勢いで私の顔は赤くなる。
日曜のことを思い出してしまい私はあわあわと硝子に弁解しようとしたら後ろから肩を抱かれた。
後ろを振り向かずともわかる。
この呪力、話の流れからすると
「付き合ってるよな沙菜」
「...っ」
耳元で色っぽく言うのは紛れもなく先程話題に上がっていた五条。
私は肩を抱く五条の手を払おうとするもいとも簡単に五条に掴まれ身動きが出来なくなった。
五条のこのニヤニヤしている顔ムカついてならない。綺麗なご尊顔だけどまじでお願いだから1発殴らせて欲しい。
「悟、沙菜教室でイチャイチャするんじゃない」
「なんだよ、傑。羨ましいのか?」
「場をわきまえろと言っているんだよ」
五条のあとに続いてやってきた傑の言葉に、喧嘩腰で返す五条。
あ、これはヤバいな...
と思った途端、2人は表へ出ていってしまった。
「きっと夏油がキレてアラームなるね」
「硝子楽しそう」
「アイツらクズ共が居なくなったおかげで沙菜に根掘り葉掘り聞けるしな」
うやぁ、硝子イキイキしてる。
「で、実際はどうなわけ?」
「付き合ってないし、好きとも言われてないよ」
「沙菜は?」
「え?私?」
「そ、五条のこと好きなわけ?」
硝子の質問に私は考える。
五条のことが好き?
好きってまずなに?
イケメンはほとんどの女の子が好きだと思う。身長高いしスタイルもいいし、この間抱き締められた時には程よく筋肉着いてたし、声もいい、で最強...でも性格がなぁ...。
「うーん...嫌いではない。弱いとかいいながら何だかんだ助けてくれるし。変な実験には付き合わされてるような気もするけど」
「ふぅーん」
硝子は自分が聞いてきたくせに興味がない返事をする。酷い...でも、そこが硝子のいい所だし、私そういう硝子が好き。
「ってかなんで五条の部屋に居たわけ?」
「それは...」
私は自分が死んだニュースが流れたことは伏せ、嫌な夢を見て思わず薄着と裸足で寮を出たこと、その時に五条と鉢合わせし、大泣きして、そのまま五条の部屋に言ったことを話したら硝子は、ウケると言いながら机を叩いて笑っていた。
「え?五条のパーカーって五条が渡してきたの?」
「うん。寒いだろうからって。部屋から出ようとした時に返そうと思ったんだけど貰っていいって」
「へぇー」
意味深な笑みを浮かべる硝子。
「それってまるで俺のものって示してるようなもんだよね」
「...っごほっ...」
硝子がとんでもないことを言ったせいで、飲んでいたカフェラテが器官に入りむせてしまう。
「深呼吸ー」
「ぅ、しょ、っほ、が変なこというから!」
「普通は自分のパーカーなんてあげないでしょ。あの五条だよ?はるかにデカいパーカー着た沙菜に欲情してたりして...」
「や、やめてよ」
本当にこの手の話とかにも私は滅法に弱いのだ。
硝子も相談に乗りながら楽しんでる。
「ま、でも五条が最初よりも沙菜のこと気にかけてるのは本当だからさ、普通に接してやってよ」
「うん。それはすごいわかる...」
任務に行った時、私が危なくなった時にすぐに助けには来てくれるもんな。術式発動するけど。でもやっぱり、突然、私の意志に関係なく発動していた術式が発動しなくなった時のことを考えてるのかなって思うと、五条のこと好きになれそう。
「今度、五条にお礼してみる」
「うん、そうしな」
硝子が私の頭を撫でたとき、高専中に響くアラームの音。
「ほらな」
硝子はニヤリと笑って煙草吸ってくるわといい、教室から出ていった。
五条のことどう思っているかなんて、わかんない。でも私が死んでることを知ってその事を踏まえて好きになる人なんているのかな?
「沙菜ー」
「ご、じょ...」
さっきまで傑と喧嘩をしていたはずの五条が何故か教室にいた。
「不細工な顔してんぞ」
「うるさいっ」
人の顔みて不細工とかほんとに失礼だな...
「あ、五条!」
「...んだよ」
「好きな食べ物とかある?」
「は?」
給料少ないから、好きな物とか買えないからせめてご飯だけならと思い五条に聞いてみたら五条はなんだコイツという顔でみていたが、そんなの気にしてられない。
「この間のお礼がしたい」
「...ハンバーグ。そして今日の夜なハンバーグ」
「分かった。なら今日授業終わったら材料買いに行ってくる」
ハンバーグ好きとかお子ちゃまかな。
やっぱ五条ってお子ちゃまなんだよな...
私は少し楽しくなって、五条に頑張るねと言うと、五条は目を逸らして、お…おうと答えてくれて、それを聞いて更に笑ってしまった。
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