ことのは1(不知火ゲンマ)


気づけば、ただただ逃げていた




闇からか



恐怖からか





それは私にも分からない…




ひたすら走り続けている




この地獄のような状況は一体いつまで続くのだろうか




助けてくれる人なんていないのに
それは分かっていることなのに


それでも私は誰かを求めていたんだ…














任務が入ってない日は
早朝に散歩をするのが俺の日課だった




誰にも邪魔されない静かな空間が俺の心を安らげる





その日も木ノ葉の里を気分で歩いていた
しかし、すぐに俺の大事な時間に邪魔が入った





「雨…」





さっきから雲行きが怪しかったが
今降るんじゃねぇよ…と心の中で舌打ちをして
早々に帰宅をしようとした時





「ニャー…」





…猫?




近くから猫の鳴き声が聞こえた
木ノ葉の里にも猫なんざ腐るほどいるが




どうもチャクラを感じんだよな…




主を亡くした忍猫かもしれないが、大蛇丸の事もある…念の為確認しとくか




雨脚はさらに強まってきた




気配を消し声のする方へ忍び寄り
そっと様子を窺うと




「…!?」





さっきから鳴き続けている猫の傍に
人がひとり横たわっていた
















「…女?」




近くに他の気配を感じないことを確認して
横たわる人物に近づくと
それは俺よりいくらか年下であろう若い女だった



猫はただひたすら鳴き続けている



雨は上がることなく降り続け俺の髪にも雫が滴っていた





「チィ…」





今思えば、なんですぐ火影様に届けなかったんだろな…




この時俺は何を考えていたのだろう




名前も知らないこの女をなぜ俺が助ける必要があったんだ?




「……」




ただ…



気を失っているのにもかかわらず
どこか悲しげな表情をしているのが引っ掛かっただけ





そう理由付けをして






土砂降りの雨の中、俺は女を抱きかかえて家に連れて帰った








To be continue...



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