莉音ちゃんから/ある昼下がり(越前リョーマ)
夏の日差しがいつもより弱い、5時間目の授業中。
「ふぁー…ねむ…」
「でかい口だね」
「うぉい!?え、えちぜ、越前君!!
い、いつからそこにっ?!」
「動揺しすぎ、声裏返りすぎ。
・・・ずっと居たけど?」
て言うか、授業中なんだから当たり前。
とボソっと言う越前君。
「確かに、ね」
無駄に共感した。
「まぁ、考えれば分かる事だと思うけど?」
「はははっ。そうだね。
…今日はいつにもまして、厳しいツッコミだねぇ」
「悪い?」
「べーつに。気にしてないよ。
それじゃ、私寝るから」
「余裕だね、夕月。そんなんで次のテスト…「zZZ」…寝るの早…」
若干呆れつつも、いつもの越前からは想像のつかないくらい、夕月の寝顔を見る顔は優しげだった。
「そろそろ起きなよ」
「ん〜…あと5分…」
「あと5分って、もう十分寝たと思うけど?」
「ん〜…って!え?!」
ガタンっと音を立てて、イスから立ち上がり状況確認。
「おはよ」
「お、おはよう。
・・・で、さ…なんで教室…」
見渡しながら、恐る恐る言う夕月。
「なんで教室、誰も居ないの?」
「体育。6時間目、体育だったでしょ?」
「あぁ…って!さ、サボった!!?」
「って事になるね」
「ちょ、良いの?!」
「良いんじゃない?」
「いや、ダメでしょ!」
ベランダ近くに言って、グランドを見るとみんな走ってた。
「あ、ねぇ夕月…」
「ん?」
振り返ったら、めっちゃ距離が近かった。
「近ッ!?」
「…これくらい近くなきゃ、ね(ボソ」
「え?何…」
「内緒。夕月はさ、今好きなヤツとかいるわけ?」
≪夕月は今、好きなヤツとかいるわけ?≫
「…は?」
隙なヤツ?
透きなヤツ?
・・・・好きな、ヤツ?
「ななななな、何言ってるの?!」
「何回も言わせないでくれる?
好きなヤツ、いるの?いないの?」
「・・………い、る」
「?!…誰?」
「・・・・・・・」
そんな顔して私を見るなぁぁぁ!!!
なんて心で叫んでも何ともならない。
だって、越前君には聞こえない訳で。
だけど自分の心臓の音は、聞こえちゃいそうなくらい大きな音で…
「…内緒、で。」
「ふぅん。そうなんだ」
「・・・で。越前君は居るの?」
「居るけど?」
「誰っ?!」
「人に内緒って言ったのに、自分は聞くの?」
「うっ・・・」
「ま、別に良いけど。・・・華子」
「?!」
え、今、今私の聞き間違え?!
…な、まえで・・・?
「目が点になってる」
「うぉ!・・・って、今私の聞き間違いかもしれないけど、名前」
「華子、でしょ?」
「な、なんでいきなり・・・!」
「…好きな奴だし(ボソ」
「?!も、もう一回言って!!」
「もう言わない。」
「何それ!!」
「まだまだだね」
もう分かったよね?
(ねぇ、もっかい名前で呼んで?!) (やだ) (ケチッ)
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