りおちゃんへ/馬鹿(越前リョーマ)



「リョーマ!リョーマ!こんな所で寝てたら風邪引くよ!」

「…ん……」



重たい瞼を持ち上げれば
ぼやけた視界から見えたのは口うるさいあいつの姿



「なんだ…華子か…」

「もう!なんだじゃないでしょ!
せっかく人が優しく起こしてあげたのに!!」

「はぁ…うるさい」



そうため息をつくと、あいつは
笑っていれば可愛い目を鬼のように釣り上げた



「リョーマの馬鹿!!」



涙声混じりにそう叫んだあいつ
そこへ突然、優しそうな声が聞こえた



「駄目じゃないか越前、女の子を泣かせちゃ」



そう言ってフワリとあいつの横に現れたのは



「げ…不二先輩…」

「どうしたの越前、そんな嫌そうな顔して…?」

「いや、別に…」



不二先輩はいつものようにフッと微笑むと
華子に体を向けて顔を覗き込んだ



「ほら、華子ちゃん…笑って?」



さも当たり前のようにそしてナチュラルに、
不二先輩はその細長い指で華子の顎に触れている

その光景に何故だかドキリとしてしまった



「……」



別に華子は俺の彼女でもない



「ほら…泣き止んで。せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」

「だって…」



特別な女子でもない



「そうだ!特別に素敵な場所へ連れて行ってあげるよ!
昨日、綺麗な花が咲いている場所をたまたま見つけたんだ」

「わぁ!嬉しいです!」



だけど



「フフ…そうそう
そうやって笑ってた方が君は可愛いよ」

「え!?///」



けど



「じゃあ、行こうか」

「は、はい!///」



なんかムカつく…

何顔を赤くしてんだよ

何嬉しそうにしてんだよ

何故だかムカムカして
気づけば去っていくふたつの背中に俺は叫んでいた



「不二先輩!」

「ん?」



そう言って振り返った顔はすべてを悟っているような嫌な微笑みを浮かべていた



「俺、そいつを渡す気ありませんから!」



負けじと笑って宣戦布告

華子はその言葉に驚いた顔をして振り向いたけど
すぐに微笑んで小さく呟いたのを俺は聞き漏らさなかった



「リョーマのばーか…」



馬鹿はどっち?って言ってやろうと思ったけど止めた

…悔しいけど馬鹿は俺かもしんないから





*END*

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