ワカナ様へ/嫉妬(丸井ブン太)



「もう!“俺の家に遊びに来いよ”なんて言ったのはどっちよ!!」



そう言って華子が怒って帰ってしまったのはついさっきの出来事



「あぁーっ!!」



いつも気にしてる髪型をグシャグシャと掻いて悩んでみても
今更どうにもならなかった



だってよ…悔しいだろぃ



あいつら、華子の胸に顔をうずめて抱きついてたんだぜ!?
まだ俺はあんなことしたことなかったのによ…


だから、悔しくて思わず



「もうお前は帰れ!」



って言っちまったんだ



「くっそ〜…」



きつく歯を噛み締めてギロリとあいつらを見てみれば
何事もなかったように無邪気に戯れていた


そう…あいつらとは



「にーちゃんどうしたの?」



俺と同じ赤みがかった髪のちっこいこいつら



「はぁ…弟に嫉妬すんなんて
天才の名が聞いて呆れるぜ…」

「…?」

「いや、何でもねぇよ」



悪かったな、と一言詫びてから
ちっこい2人の頭をくしゃっと撫でてやった



「変なのー」

「うるせぇ!」

「それよりさ、にーちゃん一緒に遊んでよっ♪」

「わりぃ、これから用があんだ」

「えー!!」



この通りと手を合わせて願えば
あいつらは渋々といった表情で頷いた



「うん。…でもさ用ってなぁに?」

「ん?あ、あぁ…それはだな…」

「もしかして、さっきのお姉ちゃん?」

「う…」



一瞬顔をひきつらせて言葉を詰まらすと



「ふーん」



と言って、2人で目を細めてニヤニヤしている



「お、お前らな!!」

「華子お姉ちゃん可愛いもんね」

「……」

「僕だったらナンパしちゃうな!」

「……」

「そーいえば、華子お姉ちゃんひとりで帰っちゃったよね?」

「!?」



ちらりと時計を見れば
現在19時21分


やばい…



「…お前らおとなしく留守番してろよ!」



そう言い残して、家を猛ダッシュした

幸いまだ遠くへは行っていなくて
少し走った先には暗い路地を歩いている華子が見えた



「華子ー!」



その声にビクッと肩を上がらせると
ゆっくりとこちらを振り返った



「…何よ、馬鹿ブン太」



冷たい目で睨んできてはいるが
俺には全く怖くなかった

寧ろ



「…華子は怒った顔も可愛いのな」

「はぁ!?…ってちょ!///」



強引に抱きしめて
華子の首筋に顔をうずめた



「やっぱ俺、お前のことすんげぇ好きだわ」



もたれかかるようにして更にぎゅっと抱きしめると
華子もやっと許してくれたのか、そっと背中に腕がまわってきた



「華子」

「…馬鹿馬鹿ブン太なんか大嫌いなんだから」



こんな憎らしい言葉さえも愛おしく感じて
俺は華子の耳元にそっと口を近づけて囁く



「俺はすげぇ好き」

「…!!///」

「…華子は言ってくれねぇの?」



鼻の先が触れるくらいに顔を近づけて
俺は欲しい言葉をねだった



「……///」

「華子?」

「す、好き…だ…よ///」

「俺も」



華子の言葉に満足して
再び肩に頭を預けるような形で抱きついた



「華子」





…たまには、こうやって甘えんのもいいよな?





*END*

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