緋祢へ/KATSU(真田弦一郎)



「不安なの…」

「うむ」



受話器の向こうからは予想外の返事が聞こえてきた



「…どうしたの?」

「何のことだ?」



頭でも打ったのだろうか?



「いや…“たるんどる!”って言わないのかなって」

「何故だ?」



それとも幸村に何か言われたのだろうか?



「いつも弱音を言うと“たるんどる!”って喝を入れてたのは弦一郎じゃん!」

「……」



あのお決まりの返事を聞いて安心しようと思ってたのに
そんな風にされたら余計に不安になっちゃうよ…



「明日試験だから、喝を入れてもらいたかったのに…
なんで今日に限って言わないの?」



…弦一郎の馬鹿!
どうせ変な気でも使ってるんでしょ?


ムスッとして言うと
フンッ…と鼻を鳴らす音が返ってきた



「たゆまぬ努力をしていた者に喝など入れる必要はない…」

「……」

「なんとしても勝ってこい。それが王者の掟だ!」

「弦一郎…」



一呼吸置いてから、それに…と付け加える



「俺は華子と共に同じ学校に行きたいしな…」

「なっ…何よ!先に推薦で決まってるからって!」

「…待っているぞ、華子」

「っ!?」



あ、あの弦一郎が
待っているぞ…だって?



「はい…頑張ります///」



耳元がくすぐったいや…





*END*

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