風邪(仁王雅治)



「海、こっちに来んしゃい」

「うわぁっ!」

私は声の主に急に腕を引っ張られ、
廊下の少し奥まった場所に無理矢理連れて行かれた。

「に、仁王!?…どうしたの?」

「……」

黙ったまま何も言わない彼は
そのまま私にもたれるように抱きついた。

「えっ!?」

「…やっぱりじゃ」

「な、何が?」

「…熱い」

「だ、誰が?」

「俺が…」

「えっ!?」

その言葉を聞いて、急いで仁王の額に手をあてると
チリリとした熱が直ぐに伝わってきた。

「もう!なんでこうなるまで我慢してたの?すぐに先生呼べばよかったのに…」

「お前さんにしかこんなひどい顔は見せられんからの…」

「…そ、そんな事言ったって許さないんだからね!!」

そう言って私は苦笑いをしている仁王を保健室までズルズルと引っ張って行った。



*END*

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