落とし物(柳生比呂士)
廊下の隅に落とし物がありました。
「おや、百合さん。どうしたんですか?こんなところで」
運良く私はこの落とし物の持ち主を知っています。
「あ、柳生君…仁王見なかった?」
ですが、私はこの落とし物をずっと欲しかった
…としたら、届けますか?
「いえ…見ませんでしたよ」
「そっか…」
こらこら、そんな目をされたら余計に返したくなくなります。
「そう言えば、最近駅前に美味しそうなカフェがオープンしたのをご存じですか?」
「あっ!知ってる!」
どうやらまだ名前を書いていないようですし…
「…どうです?一緒に行きませんか?」
お返しするのは後でもいいでしょう。
*END*
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