凛ちゃんへ/味方(柳蓮二)



「今すぐタバコを吸うのを止めて下さい!」

「あ?」





正直凄く怖かった



だけど、生徒の手本となるような生活を送り
尚且つ生徒を良き生活へ促す役目は生徒会長にあるのだ





「なんですか〜?女会長さん」


「未成年の喫煙は禁止です!」


「つれねえなぁ〜
そんなに固い生活ばっかり送ってたら人生つまんないでしょ?」





確かに、毎日きちんとしていなくてはいけない生活は気持ちが張り詰めてしまって疲れる




だけど





「あなたには関係ありません」


「ハッ!図星か?
良い子ちゃんぶるのも大変だねえ〜」


「違います!」


「うっせえな!大体、女が生徒会長やってんのは気にくわねえんだよ!」


「っ!!」




涙がにじみ出てきて男子生徒の顔がぼやける
私はぼんやりと見えるその顔を思いっきり殴ってやりたかった



けれど、ここで手を上げたら私の負け
感情に流されて動いたら駄目よ…凛



私は怒りで震える拳をグッと握り締めてこらえた



「何だよ殴る勇気もねーのか?
それとも、先生の目が気になるのかな〜?」


「違います!!」


「これだから女は駄目なんだよ!」


「女であることは関係ありません!!」




情けないくらい後から後から涙が溢れてくる


これだから女は馬鹿にされるのかな…?









「十代から喫煙をすると15年もの寿命が縮んでしまうのを知っているか?」

「なんだてめぇ?」




突然、凛とした落ち着いた声が聞こえた




「えっ?や、柳!?」





彼はスッと私の前に出ると
その長身で男子生徒を見下す



「さらに、ガンの原因の20%は喫煙によるものだそうだ」


「だ、だから何なんだよ!」







「…死にたいのか?」







一瞬にして空気がヒヤリとした




「ぐっ…」





男子生徒は酷く顔を強ばらせると
その場を逃げるようにして走って行ってしまった



「柳…」

「よく我慢したな」



そう言って、私の頭に乗せられた手はとても温かかった


思いがけない言葉に
胸が詰まり、情けなくもまた涙が溢れてきた




「自分でやるって決めた仕事だから…」

「…そうだな」




彼に心配を掛けまいと、袖で涙を拭いて背を向ける





「ありがとうね、柳」



じゃあもう行くから…と走り出そうとしたその時だ



「俺はいつでもお前の味方だぞ…凛」





背中に掛けられたその優しい言葉のお陰で
今あった嫌な出来事を全て忘れることが出来たのでした







*END*

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