サクラサク(切原赤也)
桜咲く春。
めでたく立海大学付属高校に進学した俺は、新学期早々猛ダッシュで階段を上る。
一刻も早くあんたの顔が見たくて、俺は自分の教室へ行く前にあんたの姿を探していた。
「夏希先輩っ!!」
ドアを蹴るようにして教室に入ったが、あんたは居なかった。
あれ?…確かにこのクラスだって聞いたんッスけど…
(…どこに居るんッスか?)
窓から入ってきた桜の甘い香りが鼻をくすぐる。
「…赤…也?」
突然聞こえたのは、懐かしくも優しいあんたの声。
「先輩!?」
振り返った先には、窓から見える桜をバックに、驚いた顔をしているあんたが立っていた。
更に綺麗になりましたね…先輩。
「どうしたの?新入生はまず教室に行かなk」
「夏希先輩に会いに来ました」
「赤也…」
「1年前の約束…ちゃんと果たしましたよ。…立海テニス部の王者奪還!!」
そう言ってニッと笑った俺の顔を見ると、
先輩はすっげー可愛い笑い泣きをしながら
「ありがとう」
と言ってくれた。
その一言が嬉しくて、俺は今にも先輩に抱きつきたい衝動に駆られた。
「…先輩!」
「ん?」
「俺、夏希先輩のこと大好きッス!!」
「…!?」
「世界中で一番大好きですから!!!」
先輩は俺の言葉を聞くと、今度はすっげー可愛い泣き笑いをしながら
「…ありがとう」
と言った。
校舎中に響いた俺の喜びの叫びは
桜舞う春風の中に消えてゆく…
桜咲く春。
桜咲く恋。
*END*
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