Present(仁王雅治)
今、目の前にいる奴は
ふてくされながら少し赤くなっている頬をさすっている。
「何も殴んなくったっていいじゃろ…」
「仁王が変なこと言うからでしょ!!」
その言葉に仁王はスッと目を細めると
ほーう、と言いながらイヤラシイ目で見てきた。
「な、何よ…」
「変な事、ねぇ…。俺は海のことを一番に考えたのにのう」
身の危険を感じてつい後ずさりをしてしまう。
「へ、へぇ…。彼女を一番に考えての発言が “誕生日プレゼントは俺じゃ”なのね」
「あぁ」
さも当たり前だというように答えた。
「あは…あははは…」
「ホレ、正直に言いんしゃい」
そう言って、白く細長い指で私の顎に触れて軽く持ち上げた。
「この口で“本当は仁王君が誕生日プレゼントに欲しいんです”っての…」
「〜っ!!」
気づけば後ろには壁、目の前に仁王がせまっていた。
「俺が欲しいんじゃろ?」
狼に食べられそうになっている赤ずきんは
大人しく狼の言うことをきくしかないようです。
*END*
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