色紙(丸井ブン太)
「あれ…?どこに仕舞ったっけ?」
どうも最近は物忘れが多くて嫌になる。
どこを見てみても探し物は見当たらない。
諦めようか…と悩んでいると、
戸棚から一枚の画用紙がはみ出しているのが見えた。
「これは…」
中央に懐かしいクラスメートとの集合写真が貼ってあり、
その周りにはイラストやメッセージが沢山書かれていた。
「うわー懐かしい!小学校の時に貰った色紙じゃん!」
一人一人のメッセージを、その当時の出来事を思い出しながら読んでいると、
「ん…?」
ふと、とあるメッセージに目が止まる。
『空はいつも明るくて元気でした ブン太』
何で“でした”って過去形なのよ?
これじゃあ私死んじゃったみたいじゃない!
と悪口を叩いてみるが、その人一倍濃く大きく書かれた文字を見ただけで、
私の心の中は愛おしい気持ちでいっぱいになった。
自然と頬を緩め、しみじみと懐かしい思い出に浸っていると、
「おい、空!飯はまだかぁ〜?腹減って死にそうだぜぃ…」
と、部屋の扉の向こうから情けない声が聞こえてきた。
まったく…と苦笑いをしながら色紙を戸棚に戻すと、
私は扉に向かって叫んだ。
「はいはい、すぐ準備しますよー!あなた!」
*END*
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