閑話1-4
厳かな雰囲気が漂う教会内にガーディナーが指揮したメサイアの清々しく軽快な曲が流れている。
まだ年若い神父が夕べの祈りを捧げる声を、テレンスは針を進める手を休めてしばし拝聴した。
「夕食はどうしましょうかね……」
何しろ食べ盛りの子供が三人もいるのだ。
「おい、テレンス。プッチはどこだ?」
テレンスの主人であるDIOがドアから顔を覗かせた。
「彼ならすぐそこですよ」
「おお、礼拝堂にいたのか」
DIOは来ていた信者達と一緒に祈りを聞きに行ってしまった。
あれで吸血鬼という化け物なのだからテレンスには信じがたい事実だ。
そんな人外の者が教会に住んでいるのはなかなかの皮肉だと思う。
「今日でちょうど十年目ですね……」
テレンスは壁に掛けられたカレンダーを見て呟く。
彼らがエジプトを後にしてからというものすでに十年の月日が流れ、テレンスも三十代に突入してしまった。
「彼女は一体、どこにいらっしゃるのか……」
DIOとテレンスはたった一人の女性を探し求め、あちこちを巡り巡って今はここアメリカにいる。
日が落ちた教会のダイニングではテレンスが用意した食事を掻き込むようにして食べる少年たちがいた。
「テレンス、ありがとう」
素直な礼を言ってご飯を食べているのはリキエルだ。DIOの息子であるが顔はどちらかというと母親似だろうか。
「ンまいッ!」
ウンガロはまるで飢えた犬のようにがつがつと食べている。彼もDIOの息子であるはずなのに、どこをどう間違ったのか……父親の美貌の遺伝子を一切受け継がなかったようだ。それを少しばかり哀れに思うがテレンスには一番扱いやすいのが彼だった。
「俺、ブロッコリー嫌い」
ドナテロはフォークに刺したそれをウンガロの皿へ移した。DIOの息子として一番恥じないのは彼かもしれない。
(しかしまぁ揃いも揃って……男児ばかりで……)
反抗期まっただ中の彼らは一番可愛くない時期であった。
「ドナテロ、好き嫌いするな」
DIOはワインを傾けながら注意する。
「オヤジに言われたくねぇ」
ぷいっと顔を背けてドナテロはニンジンまでもウンガロの皿に押し込んだ。
「ふふ、まだまだ子供だね」
そんな彼らを見ながらプッチはにこやかな笑顔を浮かべる。どうしようもない人生を歩もうとしていた彼らを引き取り、この教会で一緒に暮らしているのだ。そうする理由はただ一つ、彼らがDIOの息子たちだから。ちなみに養育費はDIOが出している。
「フン……」
プッチに言われてドナテロはムッとした表情を浮かべた。育ての親に対してイマイチ素直になれないのも彼だった。
「私に好き嫌いはないぞ? まぁ、一番の主食は人の生き血だがな……」
くすっと笑ってDIOは三人の息子を眺めた。顔ではなく、血のつながりで感じることが出来る。彼らはまさしく自分の子供だ。母親の顔などとうの昔に忘れ去ったが、それだけは確かだった。
「つーか、珍しいじゃん。オヤジが居るなんて。いっつもどっかほっつき歩いてるくせに」
ウンガロに言われてDIOは肩を竦めた。
「仕方あるまい。探し物がなかなか見つからないのだ……」
DIOの物憂い表情にテレンスとプッチは心中を察した。
「DIO、大丈夫だよ」
プッチはDIOのワイングラスに酒を注ぎ足していく。
「神がお導きになってくれる。必ずね。きっと出会えるさ」
「……そうだといいが」
「まだ探してたんだ?」
リキエルは諦めようとしない父親に少し驚く。
「当たり前だ。たとえ百年かかろうとも必ず見つけ出す」
「百年って……相手は相当なババアになってるんじゃねーの?」
ウンガロはゲラゲラ笑ってドナテロが入れたブロッコリーを食べた。
「うぬぅ……」
ウンガロの言葉にDIOは項垂れてしまった。想像して色々とショックを受けたらしい。
「それにもし見つけ出せたとしても、相手が居たらどーすんのさ?」
「うぐぅ……」
歯軋りをするDIOにリキエルは同情するような目を向けた。
「で、でも、もしかしたら、その人もダディのことをずっと待っているかもしれないよ?」
「リキエル……お前は優しい子だな……」
彼の言葉にDIOは微笑んだ。
「ハッ、いい歳のくせにどこにいるか分からない女を追いかけるなんて馬鹿みてぇ」
ドナテロは嘲るように笑い飛ばす。愛のない家庭で育った彼にはDIOの行動が理解出来ないらしい。
「こら、ドナテロ。父親に向かって馬鹿は止めなさい」
プッチは柔和な顔で諫めつつも、目は突き刺すように鋭い。DIOを神のごとく敬愛している彼にとっては許し難い侮辱なのだろう。
その迫力に気圧されながらドナテロはぷいっと顔を背けた。
「ドナテロ、お前にもいつか分かる」
DIOは年若い彼らに向けて優しく微笑んだ。
「ああ、今日で早くも十年か……」
DIOもそれに気付いていたらしい。テレンスは空になったワインボトルを下げながらDIOの哀愁漂う声に胸が詰まった。
「プッチ、私はまた旅に出ようと思う」
「おや……それは残念だな……しかし君を引き止めることも出来ないか」
DIOの唐突な話にプッチは寂しげに呟き、ちらりと息子たちを見た。リキエルは見る間にしょんぼりとしてしまった。彼以外は努めて表情を変えないが内心はきっと……
「三年間、世話になったな。また訪れることもあるだろう」
それが何年先の話になるかはDIOにも分からない。
「まさか今夜旅立つのかい? 明日の晩にすれば……」
「いや、もうすでに準備は出来ている。テレンス」
名を呼ばれてテレンスは一礼した。前日に話を聞いていたのですでに荷物はまとめてある。
「何だよ、そんなのありかよ……」
ウンガロは怒ったような目で睨み付けてくる。ドナテロは黙々と食べているが目が潤んでいるようだった。
「僕もダディについていったら駄目……?」
「馬鹿言うなよ、リキエル。俺らがいたら話がややこしくなるだろー?」
リキエルの言葉にウンガロが笑った。
「どこにでも行けばいいさ。俺らには関係ない」
ツンとすました顔でドナテロは言い捨てた。
「おやおや、愛されてるね、DIO」
プッチの楽しげな言葉にドナテロは嫌そうに顔を歪める。本心を見抜かれているのが堪らなく嫌なのだ。
「フフ、別に永遠の別れという訳ではないぞ。今後のお前達の成長ぶりが楽しみだな」
「そうだね。また近況を手紙に書くよ。君の部下を通じて送ればいいだろう?」
「ああ」
DIOはガタッと席を立ち、グラスに残ったワインを全て飲み干した。
「お前たち、元気でいろよ」
うっとりするほどに美しい笑みを残して吸血鬼は教会を去った。
テレンスが運転する車内にさっきからずるずると水音が響いている。
「DIO様……」
テレンスの口調はやや呆れ気味だ。十年前、彼の前で涙を見せてからというものDIOの涙腺は壊れ気味のようだった。
「それほどなら、もう少し滞在すればよいものを……」
「駄目だ。あれ以上居ては……情が移ってしまうではないか」
「もう十分、情が移っていると思いますが……」
生意気で反抗ばかりする彼らだが根はいいのだ。苛酷な少年期を過ごしてきた彼らには、愛情を表現することが上手く出来ないのだろう。それが分かっているプッチとDIOとテレンスは、温かい目で彼らを見守ってきた。
「しばしの別れだ。プッチもいることだし気に病むことはない」
まるで自分に言い聞かせるようにDIOは呟く。テレンスは肩を竦め、主に向けてティッシュの箱を差し出した。
鼻をかむ音が車内に響く。
「さて、DIO様、今度はどこへ夢主様をお探しに?」
「日本だ」
「……日本?」
「夢主の故郷だ。人は皆、生まれ育ったところが恋しくなるものだろう?」
「なるほど……もしかしたらあり得るかもしれませんね」
一番近い空港を目指して車は路上をひたすらに走り抜けていく。
二人の旅路はまだ終わりを見ない。
▼閑話2
「おぉ、これは何と……!!」
テレンスは思わず感嘆した。DIOが日本を選んだことを今ほど感謝したことはない。
様々な新製品が並ぶ大型電気店で彼はうっとりと周りを見渡した。
至る所に彼の好きな最新の電子機器が置かれ、同じく最新のゲームソフトが本体と共に山積みになっている。
テレンスにはここが宝の山のように思えた。感動に打ち震えながら、欲しいと思っていたゲーム機本体といくつかの最新ゲームソフト、それにノートパソコンとカメラを次々に買い込んだ。
DIOの執事という肩書きのおかげで金には困らない生活だ。世界中に彼の信者が居て、貢ぎ物を捧げてくる輩は後を絶たない。中には中東の石油王から通信王、さらには有名な投資家に実業家など数多くからDIOは崇拝されている。所詮、人間が行き着くところは金ではなく、やはり永遠の命なのだなとテレンスは思う。
「ああ、素晴らしい……! これも買っておきましょう!」
うきうきと買い物を済ませ、テレンスは大荷物を抱えてタクシーに乗り込んだ。
目指すはDIOが泊まっているホテルだ。最上の部屋を確保してある。とりあえず一ヶ月単位であちこちをうろつくことになるだろう。ホテルに着いてすぐにゲーム機の箱を取り出した。アメリカでは三人の息子たちと幾度となく対戦をしたテレンスだ。今回はじっくりと話を進めていくものがやりたい。時間だけはあるので、すぐさまテレビに繋げてゲームソフトを漁った。
「……お前はまたそれか」
DIOは血の入ったグラスを片手に、大きなテレビを独占し続けているテレンスに向けて言った。
「DIO様、私の唯一の趣味なのです」
「人形はどうした。魂を入れて遊ぶのも好きだろう?」
「ええ、もちろん。それもこの後で楽しみますよ……あ! クソッ! 逃げられたーッ!!」
大声で喚くテレンスをDIOは愉快そうに眺めた。有能な執事はまるで子供のように騒ぎ立てている。
「お前もあいつらと変わりがないな……」
アメリカにいる息子たちのことだろう。DIOはグラスの中の血を飲み干してテーブルの上に置いた。
「私はもうしばらく寝る。夜になったら起こせ」
「分かりました」
テレビ画面から目を離さないテレンスを見てDIOは肩を竦める。今は何を言っても聞こえていないのではないだろうか。
DIOは寝室への扉を閉めてうるさいばかりのゲーム音を遮断した。
腹が減った、と思いながらDIOは目を覚ました。
暗いカーテンの向こうは夜のようだ。きらめくネオンすら恥じらってしまう美貌を窓に映し、DIOはふあぁとあくびをする。
ドアを開けて再びリビングに向かえばテレンスはまだテレビと向かい合っていた。
「飽きぬな、お前も……」
呆れつつ、画面を覗き込むと何かと戦っているようだ。
「DIO様……ああ、申し訳ありません。夜が来ました」
それすらも忘れていたかのようだ。見れば目の下に大きな隈ができている。
「今、食事をお持ちします」
テレンスはよろよろと支度を始める。DIOはソファーに座って、テーブルの上に積まれた新聞を手に取った。
「む? 今日は……五日ではないのか?」
DIOが手にした新聞には八日の日付が入っている。
「ああ、そうでしたかね……どうもゲームをしていると時間の感覚が無くなるようで……」
彼の言葉にDIOは再び呆れた。
三日も寝ていた自分もそうだが、その間ずっとゲームをしていたテレンスも相当な物だ。
「どうぞ」
DIOに血が入ったグラスを差し出してくる。
「ああ、私も食事を取ることを忘れていました……ルームサービスを取りますが、DIO様も何かご注文されますか?」
「ワインを頼む」
テレンスはすぐさま電話で指示する。それが終わるとテレンスはふらふらとDIOの反対側にあるソファーに腰掛け、まるで糸が切れるかのように倒れ込んでしまった。ぐうぐうといびきをかいて深い眠りに落ちたようだ。
「……睡眠も取っていなかったとは……よほど面白いのだろうな」
苦笑するDIOの前で、テレビは未だにゲームの画面を映し出している。
「うぅ……そこはあのアイテムで……」
テレンスは夢の中でもゲームをしているらしい。妙な寝言を呟くテレンスを一人置いて、DIOはワインの到来を待ちこがれていた。
▼閑話3
テレンスは目の前にいる可愛らしい女性に目を瞬かせた。
「……誰です?」
「あんたこそ誰?」
顔に似合わず、生意気な口調で返されてテレンスは眉を寄せる。
ここにいる理由は大体分かっている。DIOの食料となる女なのだ。体か金か、もしくはその両方か、光に引き寄せられる蛾のごとく彼女たちはDIOの魅力に抗いきれない。彼が吸血鬼とは知らないまま連れてこられたのだろう。
下のレストランで食事を終えてきたテレンスは突然の訪問者を迎えても取り乱すことはない。むしろもう慣れている。
「私はDIO様の執事を務めております」
「わぉ、執事? へぇ……彼ってばどっかの偉い人?」
目をキラキラさせながらテレンスに聞いてくる。確かに偉いと言えば偉いかもしれない。餌の女と認識したテレンスは事務的な態度で接することに決めた。
「ええ……某有名企業のご子息様です」
適当な肩書きを言えば女は歓声を上げて喜んだ。彼女の上着とバッグを預かり、それらを片付けようとするといつになくご機嫌なDIOが寝室から現れる。
「さぁ、来るがいい……夢主」
「夢主?」
テレンスはDIOの言葉を繰り返した。驚きのあまり手にしていたブランドバッグを取り落としてしまう。
驚いた顔で目の前にいる彼女を見ると笑い返されてしまった。
「そうよ。私、夢主っていうの。何か知らないけど、彼、夢主って人を探してるんでしょ? 今日は私がその人になってあげるの」
似ても似つかないその女にテレンスは眉を寄せた。
「DIO様……」
思わず咎めるような声が出てしまう。
「言うな、テレンス……ひとときの夢だ」
DIOの差し出す手に女は笑顔を浮かべて自分のを重ねる。
(……あのような代用品では満足しないと分かっているでしょうに……)
二人が消えた寝室をしばらく眺めてテレンスは深い溜息を付いた。
「名前も、国も、性別も同じはずだ……」
なのにまるで質の悪い安酒のようだ。胃がムカムカするようなどうにも耐え難い匂いが部屋に充満している。
DIOは口に含んだ血を吐き出して、すぐさま水で洗い流した。
「ああ……夢主、お前は今どこにいる?」
この十年ずっと耐えてきた想いだ。あの香り高い血が懐かしく夢主の温もりが恋しくて仕方ない。
DIOは冷たく感じる自分の体を抱いて熱いシャワーを浴びた。その湯ですら彼の冷えていく心を温めることは出来なかった。
水滴を床に落としつつDIOは寝室へ戻った。ベッドの上にいた女の足を引きずって部屋から外へ放り出す。
リビングでゲームをしていたテレンスがその様子をちらりと見てきた。
「偽物は要らぬ」
ドサリと床に倒れ伏した女は全裸だった。探し求めている人物と同じ名の女だ。首から血を流してはいるがそのおかげで命までは奪われなかったらしい。
こうなると分かっていたテレンスは心の中で溜息をついて傷の手当てをするべく立ち上がった。DIOの思うさまに嬲られたらしく、気絶しているのがテレンスにとってせめてもの救いだ。
(ああ、アイスのスタンド……あれは本当に便利でした……)
今更にそれを思う。無制限のゴミ捨て場に放り込めば跡形もなく消え去り、全ての証拠が消してしまえる。今それがここにあったらいいのにとテレンスは考えても仕方のないことを思った。
「口直しのワインを持ってこい」
DIOは言い捨てて寝室へ戻っていく。
夢主が行方知れずになってからDIOはもはや誰かと共に寝ることはない。以前と同じく、夜の供をした女は用が済めばすぐに外へ放り出されてしまう。
テレンスは一礼した後、何よりも先にDIOのワインを用意した。
▼閑話4
冬が過ぎ、春が来て、夏も終わりを告げた。
テレンスは人形の制作をせっせとしながら夕闇が迫る市内を眺めている。半年が過ぎても探し物はなかなか見つからなかった。あちこちを転々とし、今はS市にあるホテルに滞在している。カーテンが引かれ、光が差し込まない暗がりでDIOはごま蜜団子をぱくぱくと食べながらテレビを見ていた。
「テレンス」
不意に呼ばれてテレンスは作業の手を止めた。
「何でしょう?」
「日本もいいが……そろそろ違うところへ行こうと思う」
「分かりました」
テレンスはすぐさま荷物の用意をする。あちこちに散らばるDIOの私服や買い込んできた物を大きなトランクに手早く詰め込んでいく。何度も旅を繰り返すうちにこの作業のコツは得ている。
和菓子の空箱をゴミ箱に捨て、途中まで作り終えた人形を自分の荷物の中へしまい込んだ。忘れ物がないか最終確認をして部屋の入り口でDIOを待つ。
「寿司に焼き肉、祇園に芸者、富士の山も移動の途中で見たな……しかしここにもあいつは居ないか……」
大きなため息を付きながらDIOはソファーから立ち上がった。
鼻を突き抜けるわさびに悶絶した頃が懐かしい。芸者の立ち姿にうっとりとなったテレンスも日本の思い出を心に描いた。住んでいたアメリカに比べればここは皆、人が良くて穏やかだ。何より治安がいい。だからこそ夢主はあれほどのんびりした性格だったのだろうと今なら分かる。そしてそれは何よりも幸せなことだ。
「次はどこへ向かわれますか?」
「ふむ……イタリアだな。我が息子がいるところだ」
初めて聞く息子の存在にテレンスは驚きを隠せない。
「まだ居ましたか……」
「ああ、夢主が教えてくれた。ジョルノ・ジョバァーナという名前だ」
国と名前が分かっているのなら探し出すのは比較的簡単だ。テレンスは携帯電話を取り出し、すぐさま部下に現地へ飛んで彼を探すよう命じた。
「あいつの故郷はなかなかに楽しいところだったな」
DIOはそう言って笑った。
「見つけ出したらまた来てもいいだろう。その時は露天風呂に入って思う存分、楽しみたいものだ」
一体、何を楽しむつもりなのか……テレンスは聞かなかったことにして部屋を出る。
あまりこの国に長居するとテレンスはゲームに嵌り続け、DIOは彼女恋しさに同じ名前の女を全て喰い殺しかねない。
「DIO様、せめて最後にもう一度だけ電気店へ行かせて下さい」
「またかテレンス……お前も好きだな……仕方ない奴だ、さっさと行ってこい」
荷物はすでに一杯だというのにテレンスはさらに増やそうとする。フロントにそれらを一時預け、テレンスはロビーを駆け抜けていく。
「私も最後の晩餐といくか」
それは女か日本食か。DIOは静かに笑って人々がざわめく街中へ足を踏み出した。
終