16


 DIOは言葉の真意を見出すかように相手を見つめた。目があった瞬間、夢主は恥ずかしそうに長いまつげを伏せる。
 つまりそれは……体に触れる承諾を得たと、自分に都合のいいように解釈して良いのだろうか。
「いいのか?」
 唇の上で囁くように尋ねれば、夢主は目にDIOを映して確かに頷いた。
「触れてもよいのだな?」
「……うん」
 確認を取ってくるDIOに耐えきれず顔を俯かせながら返事をした。そうする夢主を見て、DIOは身の内から溢れる歓喜に全身が震えるようだ。嬉しさのあまり動悸が早くなる。
 すぐさま相手の腰を抱えてDIOはバスルームへ直行した。
 ザァザァと湯を張る音が反響する中でDIOは夢主の服に手を掛ける。ボタンをいくつか弾き飛ばしながら次第に露わになっていく肌に興奮が抑えられない。濡れたシャツを床へ落とすとDIOは首筋に唇を寄せた。
「あ……」
 ひやりと冷たい女の肌の上を弾力を楽しみながら移動する。首筋から鎖骨、ふんわりとした胸の谷間。どこに触れても果てしなく柔らかい。手を後ろに回しスカートのホックを外してファスナーを下ろす。ジィッと言う音が響いてすぐに床の上へ落ちていった。ナイフよりも鋭い爪先でストッキングを裂いて捨てると、男心を誘うような、頼りない紐で腰に留められたショーツがDIOの目に映り込んだ。
 見上げると真っ赤になった夢主と目が合う。男の前で初めて身をさらすその羞恥に必死で耐えようとしているようだ。その姿に煽られないわけがない。
 腹部に口を寄せて甘く噛んでみれば、ふるりと震える胸が目に飛び込んできた。腕を伸ばし、邪魔だったブラのホックを外してこれも床へ落とした。こぼれる胸を夢主はすぐさま腕で覆い隠す。
「D、DIO……」
 少し怯えたような声がDIOの中に渦巻く支配欲を刺激する。ようやく己のものに出来る喜びに目眩さえ感じるほどだ。それは甘美で、強烈な快感だった。
 ショーツを支える頼りない紐をするりと解かれてとうとう体を包み隠すものがなくなってしまった。DIOに至近距離で見つめられて夢主は顔を覆ってしまいたくなる。しかし、そんなことをすれば胸と股間が露わになるのでそれすら出来ない状態だ。
「あの、見ないで……恥ずかしい……」
 羞恥で真っ赤に染まった裸体を見てDIOの中の雄が目覚めていく。この姿に興奮しない男などいやしないだろう。可愛くて愛しくて、もう無茶苦茶に犯したい。今すぐ体中を舐め尽くして、あらゆるところをドロドロにしてやりたくなる。
「恥ずかしがるな……綺麗だ、とても」
 そんな風に褒められると思わなかった夢主は、体を強く抱きしめて身悶えてしまった。
 裸にされた後、DIOが自身の衣服に手を掛けたのを見て夢主は視線をどこへ定めたらいいか迷ってしまう。カチャリとベルトを外す音がやけに生々しい。衣服に手を掛けて下着ごと全てを脱いでしまった相手に、夢主はもう目を開けていられなくなった。
 目を瞑り、震える体を隠す彼女をDIOは微笑みながら抱きしめる。ビクリと震える彼女が初々しい。未だ男の体を知らない清純な乙女なのだ。
「……!」
 押しつけられた体と下半身に感じる異物に夢主は激しく動揺する。いつも薄着で過ごしているDIOの体は見慣れているはずなのに、その一枚が無くなっただけでも全く違うものだと気付かされる。薄布の向こうにあった彼の艶めく肌は夢主にぴたりと吸い付いてきた。
 そのまま力任せにシャワー室へ連れ込まれ、シャワーの栓を捻るとすぐに二人の頭上へ湯が降り注いでくる。その温かさに体が弛緩したのもつかの間、DIOの手がゆっくりと伸びてきて夢主は再び緊張で固まってしまった。
「夢主……」
 二人でシャワーを浴び、ぴたりと体を寄せてキスをする。触れ合うだけのキスからすぐに舌が潜り込んできた。
「……あっ」
 誘うキスとは比べものにならない激しさにあっという間に翻弄されて、何度も深く吸い上げられる。上手く息が出来ない苦しさと確かな快楽にふらついて、身を隠していた手でとうとうDIOの腕に縋り付いてしまった。
「ん……」
 解放された夢主の胸をDIOの大きな手が包み込むと、降り注ぐお湯の中で胸の形を確かめるようにゆっくりと揉みほぐす。もう片方の手は夢主の肩から腕を滑り落ち、腹部と脇腹をくるくると撫でた。その微妙な力加減に下腹部がぴくりと反応する。
「……っ」
 ヘソをくるりと撫でたかと思うと指はさらにその下へ潜り込み、ふっくらとした丘を越えて整えられた茂みの奥へ吸い込まれていった。
「んっ……あ、ッ」
 柔らかな感触を味わうように撫でつけられて、夢主は唇を離すとDIOの胸に顔を押しつける。
「ひっ……、あぁ……っ」
 一番感じる芽を探り出され、ゆっくりと形を確かめるように触れられて腰が跳ね上がってしまった。
「恥ずかしいか?」
 熱にうなされたような声に夢主は何度も頷いた。DIOを見上げれば赤い目の中に劣情が渦巻いて見える。
「は、恥ずかしい……」
「それは私もだ」
 そういって夢主の手を掴むや自身の足の間に導く。夢主は手に触れた熱源にびくりとする。すでに勃ち上がっているそれを握らされても、どうすればいいか分からない。
「お前に触れてこうなったのだ……」
 遠慮無く熱い猛りを押しつけられてその質量と硬さに動揺した。
(こ、これが……入っちゃうの?)
 自分の中へ全て受け入れられるだろうか……壊れてしまいそうだ。
 そう思って怖々と撫でてみれば、DIOの体がピクリと反応した。
「あまり煽るな」
 苦笑しつつ、DIOは夢主の首筋に鼻を寄せて、いつものように血の香りを嗅いだかと思うと今度はそこへ歯を軽く立てる。牙で吸血されるのかと思えばその鋭い歯はすぐに引っ込み、代わりに唇で強く吸い上げられてしまった。
「あぅ……」
 ちゅっと吸われたそこから甘い刺激が走り抜けていく。甘噛みされ、時にキスマークを付けられながら秘部をくすぐる指の動きは止まることがない。未だ握らされているDIOの陰茎が手の中で時折ぴくりと動く。それが酷くいやらしくて夢主の頭の中は淫らに溶けてしまいそうだ。
「ん……はぁ……」
 首筋を丹念に舐められ、キスをされ、噛みつかれる度に腰がビクビクと跳ね上がる。味わったことのない快楽に抵抗のしようがなかった。とろけていく彼女をDIOは一目見るや、小さく喘ぐ唇を塞いでくる。
「体は……温まったようだな」
 入った時と同じく、出る時も唐突だった。DIOが不意にシャワーを止めたかと思うと自身を握らせた夢主の手を取り上げ、体を抱かれてバスルームの外へ連れ出される。バスタオルで体を拭かれている間、夢主はのぼせたようにぼんやりとDIOを見ていた。そのうちタオルでぐるぐる巻きにされると有無を言わさず寝室まで運ばれてしまった。
 ゆっくりとシーツの上に置かれてその上へDIOが覆い被さってくる。この前と同じ状況だが明らかに違う。二人とも裸だ。どちらも漂い出る情熱を隠しきれていなかった。
「今宵、お前を抱く……よいな?」
 最終確認を取られて夢主はベッドのシーツをぎゅっと握りしめる。
 答えなくてはいけないのだろうか……。けれど、雰囲気で済ませたくはない。
「抱いて欲しい……DIOに……」
 恥ずかしさを堪えつつ相手の目を見て言った。
 赤い目が炎のように揺らめいている。夢主はそれを少しも怖いとは思わない。この世に存在するすべての宝石より綺麗だ。
 DIOは何か言おうとして口を噤み、魂まで奪うかのように再び口付けてきた。



 激しく翻弄されながら夢主も精一杯に愛撫を返す。求められるままに舌を差し出し、絡め合い、二人分の唾液を飲み込んでいく。もうそれだけで頭の中が熱くなった。
 そんな様子を見たDIOは彼女の胸につぅっと手を滑らせ、すでに尖った胸の先を指先で転がし始める。
「んっ」
 頂から腰に向かってピリッと刺激が走り抜けた。そのうちDIOの唇が夢主の舌から離れて首筋を伝い、ツンと主張する胸を口に含む。片方の胸も指先でちりちりと虐められて、初々しい反応をする体はほんのりと色付いていった。
「……あぁ、っ」
 自分でも驚くほどの甘い声が次々に出てくる。それが恥ずかしくて指先を噛んで耐えてみるが、どうしても全てを押さえつける事が出来ない。
「んっ……あぅっ」
 DIOの舌が乳首を舐めたり噛んだり、吸い上げたりする度に下腹部が急激に熱くなっていく。
 そのうち胸から腹へ指を滑らせたDIOは、先ほど触れた夢主の秘所をそっと撫でた。
「あっ! ……っ!」
 思わず嫌と叫びそうになった自分の声を押し戻す。
(受け入れたい……DIOの全部……だから嫌だなんて絶対言いたくない)
 それが自分に課せた誓いだ。拒絶するような言葉は言わない。あるがままに受け止めるのが夢主の覚悟だ。
「……濡れているな」
「い、言わないで……」
 DIOは恥ずかしがる夢主にフッと笑いかけると、彼女の膝裏へ手を置いてそのまま左右へぐいっと広げた。
「ひゃあ……っ!?」
 力任せに押し広げられて夢主は慌てて自分の中心を隠す。
「隠すな。見えないではないか」
「あっ、……うそっ!」
 DIOは夢主の足を肩に乗せ、覆い隠す手を掴んだ。
 力では適わず、夢主はゆっくりと退けられていく自分の手に絶望する。
「み、見ないで……お願いっ」
「それは無理だ。お前の全てをこの目に焼き付けたい」
 よりにもよってそんなところを目に焼き付けないで欲しい。夢主は喉を震わせながらDIOの眼前に晒されてしまう現実に目眩がした。
「綺麗な色だ。誰の手垢も付いていない……生娘の証だな」
 言葉だけでくらくらした。そんな感想を言われて夢主は耳を塞ぎたくなる。
「ずっと私だけのものだ」
 そう言うやうっすらと濡れ光る花びらへDIOは唇を寄せてきた。
「ひ、……っ!」
 熱く濡れたDIOの舌が形を探るように周囲を舐め、唇に挟んでは優しいキスを繰り返す。夢主は快感に煽られて体をびくびくと揺らした。そのうちディープキスをするかのように舌を体の内側に忍ばせてくると、その驚きで飛び上がりそうになる。
「なっ、……」
 頑なな蕾を押し広げ、溢れてくる愛液を掻き出すように舌が内部でぬるぬると蠢いた。
「あぁっ、……うそ……っ!」
 足がピンと張り詰めていく。夢主は右手でシーツをぎゅっと握りしめ、左手の指を強く噛んだ。
「……狭くて暖かいな」
「そ、そんなとこで、しゃべらないで……っ」
 息がかかっただけでも感じてしまう。その証拠にとろりとした蜜が奥から溢れてきた。それをDIOは唇を使ってちゅるちゅると吸い上げ、舌の上で転がし、心ゆくまでたっぷりと味わった。
「いい味だ。血だけではなくここもよい味がするぞ」
 くすっと笑われた夢主はもう気絶してしまいたくなる。そんなことをする相手が信じられない。
「じっくりとほぐしておこう。お前も辛いのは嫌だろう?」
 DIOは再び舌を伸ばし、充血した花芯をぺろりと舐め上げた。
「っ!」
 途端に今まで感じたことのない強烈な快感が走り抜けて、思わず体を震わせてしまう。
「声を出せ。我慢するな。全てを聞かせろ……」
 DIOは指を噛んで声を殺そうとする夢主の左手を掴みあげ、もはやそうできないようしっかりと手を繋ぐ。夢主の暴かれた中心でぷくりと尖った芽を根本から舐め上げて唇全体でキスをする。
「ひっ、あぁ……!」
 甘い悲鳴を上げる夢主の声をもっと聞こうとするように、歯で軽く押しつぶしては柔らかく吸い上げ、舌先でちろちろと舐めたかと思えばざらつく舌をたっぷりと這わせて、泣き濡れる綻びを様々に嬲った。
「はぁ……っ」
 その度に夢主の中から溢れていく女の蜜をDIOは舌を使って舐めしゃぶる。締め付けてくる襞をこすりつつ、舌を出しては入れて、次第にとろけていく隘路を刺激した。内部を舌先でくすぐられる感覚に耐えられず、身を捩って逃げようとしてもすぐにDIOが片腕で押さえ込んでくる。
「そこ、……ダメぇ……」
 ぴちゃぴちゃと花芯を舐めながら、DIOはその下でひくりと震える襞へ中指をあてがった。奥から止めどなく溢れてくる熱いとろみを絡ませながらゆっくりと押し入れる。途端に大きく跳ね上がる腰を押さえてDIOは優しい愛撫を繰り返した。
「あ、うそ……入ってる……」
 DIOの長い指がすでに第二関節まで埋め込まれている。中でぐいっとかき回されて夢主の目の奥で光が弾けた。
「熱く、ぬかるんでいるな……どろどろだ」
 DIOの淫らで嬉しそうな声が耳にするりと入ってきて、鼓膜からも快感を生んだ。
 狭い内部の隅々まで味わうかのように、指はとろとろの蜜を滴らせるそこを何度も擦りつける。ゆっくりと指の根本まで埋め込みつつ、DIOは夢主の突起した芽を舌先で舐め、唇でしごきながら貪り続けた。
「ひっ……も、もう……無理ぃ……」
 敏感な部分と初めて感じる内部からの刺激に耐えられず、ぼろぼろと涙をこぼす。
「あ、ああ……な、何か、来ちゃう……っ」
「達するのも初めてか? そのまま身を任せればいい」
 未知の感覚に怯える夢主にDIOは微笑んで中に埋め込んだ指を優しく動かした。ざらつく肉壁を撫で、一番いいところを探り出していく。そこに触れる度に体が跳ね上がり、声に色が付くその部分を。
「っ!……あっ……ああぁ……っ」
 甘い官能に身をよじり、膝をがくがくと震わせて今まで知らなかった悦楽に貫かれた。
「ふ……ぁ……」
 生まれて初めての刺激に夢主は呆然となる。心地よさが波のように寄せて来るばかりでなかなか引いてくれない。快楽に脳は痺れきって、くたりと力の抜けた体はもう動かすことすら困難だった。



 潤んだ瞳から涙をこぼし、荒い呼吸をする夢主をDIOは堪らない思いで見つめた。一人の女にここまで丁寧に愛撫をしたのも初めてだったし、絶頂を迎えたその姿にこれほど興奮することもなかったからだ。
 好きだから、愛しているからこそ熱くなれるのだろうか……
 早く埋め込みたい衝動に突き動かされて、夢主の中に入っていた指をもう一本増やしてみる。達したことでさらに濡れたそこはDIOの二本の指を包み込み、狭く熱くうねりながら奥へ導こうと必死だった。
「ん、ん……っ」
 眉を寄せて苦悶する表情にDIOの加虐心が煽られて、思わず熱い吐息が零れてしまった。
「ああ、夢主……お前が感じるその姿は美しいな……」
 DIOの言葉を聞いて夢主は両耳を塞ぎたくなる。けれどDIOの手を握りしめていないと不安で仕方ない。このまま乱されて自分が自分でなくなる感覚に流されてしまいそうだ。
「どこに触れても柔らかい……いい香りがする」
 愛液にまみれた小さな突起にちゅっとキスをした。再びぐいっと足を大きく開かせて、その中心に埋め込まれた指をぐちゅぐちゅとかき回してみせる。
「ひっ……」
「フフ、いい音だ。そう思わないか?」
「っ、……あぁっ……!」
 粘ついた水音に指を受け入れているところがきゅうっと狭まって、DIOの美しい指を締め付ける。体の奥から悦びに泣く蜜がとろりと溢れてくるのが自分でも分かるほどだ。
「また達したか? いい具合にとろけているな」
 内部を確認するかのようにDIOはゆっくりと指を這わせ、掻き混ぜ、そしてようやく引き抜いた。
「ああ、こんなにも濡らして……お前は可愛い奴だ」
 DIOは濡れて甘い花の香りがする指を自分の口に咥え、蜜を舌でべろりと舐め取った。
「な……なにしてるの……?」
「お前が感じた証だ。もったいないだろう?」
 相手の行動が信じられない。何がどうもったいないのか、夢主にはさっぱり分からない。分かりたくない。そんな恥ずかしすぎることをしないでほしい。
「さて、そろそろ良いだろう」
 そそり立つDIOの肉茎が指を受け入れていたところへ宛がわれる。その熱さと硬さに夢主の体と心臓が跳ね上がる。
「ああ、堪らぬな……」
 しかしすぐに挿れることはせず、DIOは濡れた秘部へ己を擦りつけた。熱を宿す欲望にとろとろの愛液が絡みつき、卑猥なまでにお互いが濡れ光っている。
「DIO……」
 その刺激だけで夢主は再び達してしまいそうだ。背中と言わず全身がとろけている。これ以上されたらどうなってしまうのだろう。
「優しくはするつもりだ……だが……」
 DIOは少し困ったように眉を寄せ、夢主の頬を優しく撫でてくる。痛みの嫌いな自分が破瓜の苦しみに耐えられるかどうか、不安に思っているらしい。
 夢主にもその未知なる痛みは想像できない。それでも……ここまで来たら引き返したくなかった。
「……我慢するから」
 涙を湛え、襲い来る痛みに怯えながら自分の願いを口にする。
 早く体のすべてをDIOで一杯にして欲しい。全身、隙間無く、触れてないところがないようにDIOだけを感じていたかった。
「お願い……」
 もとよりそのつもりだったDIOは夢主に請われた瞬間、身震いする。
 こんなにも愛しい存在を隣に置いて、今までよく手を出さなかったと自分を褒めてやりたい。
 それもこの時までだ。今から彼女の全てを自分のものにする。身も心もぴったりと合わさって一つになれる。
「分かった」
 先ほど告げた通り、DIOはゆっくりと夢主の内部へ己を埋め込んでいった。
「ひッ……」
 狭い蜜口を押し開かれ、夢主は我慢すると言った口から思わず悲鳴を上げた。
「あぅ……が、我慢するから……」
 入り口で止まったDIOに夢主は再び願いを口にする。DIOはそんな夢主の頬に口付けた後、ゆるやかに自身を埋め込んでいく。全てが入りきらないうちに濡れた肉が迫ってきて痛いほどに締め付けてくる。これほどに狭く、そして熱いのは初めてだ。
「あっ……んっ、んんっ……」
 内部を引き裂かれる苦しみに眉を寄せて辛そうに喘ぐ夢主を、DIOはうっとりと見つめながら奥を目指して突き挿れる。
「ああっ、……っ」
 余程に痛いのだろう。涙をぼろぼろとこぼして震えている……それでも必死に耐えようとする夢主の姿にDIOは愛しさと劣情が同時に込み上げてきた。
「止めて欲しいか?」
「んっ……うぅっ……へ、へいき……」
 全くそうは見えない。なけなしの虚勢だ。痛みに震える涙が次々に溢れるのを見て、DIOはそれを散らすために唇を寄せた。こぼれ落ちる涙を何度も何度も舐め取った。流れる涙は自分を想って溢れていくのだ。DIOに愛されたいと思う夢主の心そのものだった。それをどうして愛さないでいられるだろう。
「DIO……」
 優しいキスを繰り返していると、夢主はぎゅっと寄せていた眉を少しだけ緩めた。
 その瞬間、愛液に混じって乙女の印である血が寝具の上にぽたりと落ちた。その血の香りがDIOの嗅覚を激しく刺激する。
「ああ……これは……」
 他の処女を抱いた時にはこんな香りはしなかった。うっとりするほどに豊かで甘い血の香りだ。夢主の血はそこからも特別な匂いを放つようだ。渇きを癒してくれる血の香りに包まれながら、DIOは初めて味わう夢主の体に夢中になった。痛みに震えている夢主には悪いが、これはもうどうにも耐えられそうにない。
「すまない……」
 ぐっと突き入れると夢主の最奥に到達した。DIOが触れた瞬間、夢主はビクビクと体を引きつらせる。
「!」
 ぬめる肉壁がきゅうっと窄まり、DIOを離すまいとする。ひくつくそこが最高に気持ちよかった。
 夢主の胸にぽたりとDIOの汗が落ちてくる。夢主はその滴を半ば達しながら見上げた。DIOの美しい顔が肉欲に溶けてひどく色っぽい。そんな顔を誰にも見せたくないと思う。気持ちいいのか、それとも辛いのかは分からないが、整った眉を寄せてDIOは夢主を見下ろしてきた。
「っ……DIO……」
 彼に見つめられるだけで何度でも達してしまいそうだ。
 夢主は震える手を伸ばし、相手の広い背中に腕を回した。
「くっ……夢主……!」
 肌を伝ってくる鼓動と触れ合う温もりが堪らなく愛しい。DIOは夢主の腰を掴むと、埋め込んだ己をゆっくりと律動させ始めた。
「ああ……っ!」
 喉を仰け反らせながら夢主は快楽の縁へ追いやられていくのを感じた。敏感になった体を甘い快感が針のように刺してくる。
「ん、っ……はぁ……」
 夢主の中に埋め込まれた太く硬い陰茎は苦しいほどに圧迫してくる。それでも蜜は止めどなく溢れて、部屋中にぐちゃぐちゃと卑猥な音を立てた。
(おかしくなりそう……)
 ずっとこうしてDIOと繋がっていたい。自分の中で暴れる彼をしっかりと咥え込んで夢主はDIOだけを求めた。
「はぁ……あぁ……」
「痛いか?」
 本当はまだ少し痛みがある。DIOの問いに頷きたくなるが、銃で撃たれた時に比べればこれくらいの痛みは我慢できる。それに他の誰でもないDIOに抱かれているのだ。その事実が何よりも嬉しく幸せだった。
 弱々しく首を横に振り、夢主は平気だというように背中に回した手に力を込めた。
「夢主……」
 自分のために必死で痛みを我慢をする彼女を見て、狂おしい想いが胸に込みあげてきた。痛みよりも快感が上回るように、DIOは先ほど探り当てた夢主の感じるところをぐりぐりと擦り上げた。
「っ、まって……ああっ……っ」
 ゆっくりと引き抜かれては浅い部分を刺激し、うごめく襞の感触を確かめるように再び奥へ押し入ってくる。
 優しくも確かな意図で夢主の体から快感が引きずり出され、ぐちゃぐちゃと粘つく音を響かせながらたっぷりとかき回されてしまう。あまりの快楽に夢主の口からはもはや乱れた声しか出てこない。
「あっ、ぁ、……んん、DIO……っ」
「堪らない、といった顔だな……」
 自ら震える体を開いて夢主はDIOの全てを受け入れようとする。
 このまま再び達してしまえばどうなるのだろう。怖いような、知りたいような、複雑な気持ちを抱えて相手を見上げると、呼吸を荒げたDIOが赤い目で自分を見下ろしていた。その視線を受けて夢主の中がまたぎゅうと狭まり、埋め込まれたDIOを強く締めつけた。
「も、もう……だめ……っ」
 DIOに感じるところばかりを責め立てられ、絶え間ない淫らな刺激に頭を力なく振る。今まで知らなかった快楽に長く耐えられそうになかった。
「……お、お願い、キス……キスして……」
 夢主が求めた瞬間、DIOから噛みつかれる勢いで口付けられた。
 情熱を宿したお互いの舌が激しく絡み合うと、夢主は歓喜の中でDIOの背中をぎゅっと抱きしめる。
「ああ……ッ」
 悲鳴に似た甘い声を発しながら、今までで最高の悦楽に夢主は全身を強張らせながら身を委ねた。
 奥深いところを突かれ、うねる内部がひくひくと痙攣する。DIOは夢主がそこで達した瞬間を見た。赤く淫らに色づいた顔にぽろぽろと涙をこぼし、その目にDIOを映しながら絶頂を迎えたのだ。
「夢主……」
 絡みついてくる肉壁に今まで感じたことのない悦びを与えられて、DIOは夢主の奥へ求められるまま全てを吐き出していく。その瞬間、脳が痺れるほどの心地よさと、満たされる幸福感が体中に広がっていった。
「っ……」
 DIOはしばらく動かずに長年求めていたこの一瞬を味わう。
 目蓋を伏せた夢主に顔を近づけ、DIOは触れるだけのキスをする。
「……もうどこにも行くな」
 DIOの言葉に夢主の心は甘く溶けてしまう。痛みや快感ではなく、喜びで涙が流れた。
「俺の側にいろ……」
 喘いで濡れた夢主の唇を優しく奪い、目尻からこぼれていく涙をDIOは大きな手で拭い去った。
 ゆっくりと自分の中から引き抜かれていく熱芯に夢主は身を震わせる。弛緩した体を投げ打って、痺れている足を静かに閉じた。
 DIOは夢主の隣へ横になるとすぐに体を触れ合わせてきた。髪を撫で、頬にキスをし、うっすらと汗ばんだ額へ唇を落とす。
「愛している」
 そんなに愛を囁かれては体中の水分が涙となって流れてしまいそうだ。夢主は気怠い体をDIOにすり寄せて手を伸ばした。
 私も……、泣きながらそう呟く彼女をDIOは腕の中に抱きしめて離さなかった。




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