>>2015/07/18

「うっ、う、いい話だ、すごく素敵な話だ!ね!そう思わない!?スティーブン!」

「ああ、終わったのか」

「もう!ちゃんと見てたの!?……いいなあ、ニッポンのアニメーションは良い……」

「君が楽しめたなら何よりだな」

「……ホントに見てた?」

「見てたとも」

「主人公の子、いいなあ……。タイムリープなんてできたら世界守り放題だよね」

「……ああ」

「……なに?」

「そういう考えは、その子と変わらないなと思って」

「どういうこと?」

「なんでもないよ」

「ふうん」

「……」

「……」

「飲む?」

「うん、いただきます」

「……」

「……」

「……」

「……あの子たち、未来で会ってもやっぱりちょっと年の差が開くと思うんだよね。どんな再開するんだろう。ね、スティーブン」

「え?あれって、もう会えないんじゃないのか」

「えっ!?なんで?あっ未来っていっても世界は広いし、見つけ出せないかもってこと?」

「いや」

「そんなことないよ!絶対会える、だって両想いだし」

「違う、話の中でも言ってただろ、もう会えないって」

「でも会えるよ!絶対……」

「なにをこんなことでムキになってるんだよ、実際そんな都合よくいくもんじゃないってわからないわけじゃないだろうに……」

「ムキになってるのはスティーブンのほうでしょ!……なによ、そんなにわたしの言うこと気に入らない?」

「……そんなわけないだろう。どうする、もう一度見るか?」

「……うん」






「………」

「………」

「スティーブンの気持ち、ちょっとわかってきたかも」

「……なんだ、僕には画面を見ろとうるさいくせに、違うこと考えてたのかい」

「ちゃんと見てますー」

「そう」

「…………もしわたしが未来から来てて、これ言っちゃったからもう帰らなきゃって言ったらどうする?」

「そうだなあ、二人の時間を大事に過ごすかな」

「嘘つけ。ぐるぐる巻きにして未来のこと根掘り葉掘り聞くくせに」

「まさか」

「……わたしはね、もしスティーブンがいなくなったら、探すよ。あなたは絶対もう会えないって言うんだろうけど!」

「なんだ、まだ根に持ってたのか」

「まあ分かってるけどね、そんな都合のいいことないって。だてにライブラやってないよ」

「君が諦めてちゃこっちもやりようがないな」

「……なにが?」

「…………うーん」

「?」

「俺は、君がいなくなる前に、多分どこかに拘束して指一本動かせなくしてしまうな」

「えっ」

「舌も動かせないように縛って、点滴で栄養をとらせて、一生そのままだ」

「……お、おっそろしいんだけど……」

「そうだな。そうならないためにも、俺には何も言わずに消えてくれよ」

「ウィ……。う、嘘だからね?さっきの未来からきたとかって、嘘だから!」

「はは、分かってるよ」

「ホントにできちゃいそうなのがこわいの!はあ……なんでこんなのと一緒にいるのかなわたしは」

「ハズレを引いたのはお互い様だろ」

「……どういうことかな」

「君のおかげでこっちも色々と苦労してるってことさ」

「なっ、なっ、た確かに迷惑は度々おかけしてますけども!それは不可抗力っていうか、世界の均衡を守るため仕方ないというか……」

「そういうことじゃなくて」

「……え、じゃあ何?……例えば?」

「例えば……」

君がいなくなったらと考えるだけで極端なほうへ走るほど頭が壊れてしまったり

「……ヴェデットに俺のことをこっそり聞こうとしたりだとか」

「う!し、知ってた……ん…デスネ……?」

「気付かない訳ないだろ。ベッドの下探るのもやめてくれ。何も無いから」

「うーっ!ううー!ごめんなさい!わたしは……わたしはハズレですー!」

「はいはい。ほら、さっき君が泣き出したシーンだぞ」

「もう、いい……うっ、二人とも、会えないのか……」

「会える会える。そんなことで泣くな」

「うぅ……」






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