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追いついてまた隣に辿りつくと歩調が緩まる。…何だかんだ歩調を合わせる為に気を使ってはくれているらしい。まあ、それでも私には早足気味だがそこはお互い様だ。やはり無言のまま少し歩く。


「…今日は館に居ると騒がしいだろう」

「へ?…ああ、まあそうだろうねえ」


思いがけない言葉に驚きつつ頷く。今日は館に滞在してる人数が普段より多い。暇が有るとちょこちょこ顔を出してるラバーソールやデーボさんはもちろん、ホル・ホースさんやダン君も任務が途切れたとかで溜まってるらしい。ああ、ダービーさんも来るとかでテレンスさんが渋い顔してたな。マライヤさんとミドラーさんも来てるらしいけど美味しいバーを見つけたとかで入れ違いになってしまった。悔しいです!…それにしても。


「普段別にそんな事気にしないじゃん」

「…」


何も返してこないDIOを見上げながら普段の館を思い返す。まあ確かに基本的に馬鹿騒ぎする様な人は居ない(ラバーソールなんかは別だが)。しかし、誰かがやりたいと言えば酒盛りだってするし、広間が賭けの会場になって良く分からない熱気に包まれることだってある。そんな時のDIOは混ざったりは滅多にしないが、嫌がっている訳でもないし混ざったら混ざったで暴君振りを発揮しつつ楽しんでいると思っていたが…。


「…皆で騒ぐの嫌だった?」


知らぬ間に機嫌を損ねていたのだろうか。だとしたら申し訳ない、主に被害を受けるテレンスさんとかに。


「いや、そんなことはない」

「え?ならなんでよ」


折角大勢居るんだから人生ゲームとかやりたかったのに!文句の一つでも言ってやろうかと思ったが、DIOがなんとも言えない複雑な顔をしているのを見て止める。…私が居るとなにか問題が有ったのだろうか。承太郎抹殺計画とか?いやいや笑えないわそれ。そんな事を考えていると眉間にしわが寄る。それを見たDIOが嫌だったか?と尋ねてきた。


「別に嫌ではないけど。散歩嫌いじゃないし」

「そうか。…あの面子が居ると貴様はそっちに掛かりきりになるからな、私が暇になるだろう」


その言葉に思わず足が止まる。見上げたDIOはどこか拗ねたような顔をしていた。


「…あれですか。彼らに構わずに君に構えとそう言う事ですか」

「…そんなことは言ってない」


フン、とそっぽを向くが言っている事はそう言う事だろう確実に。ツンデレ美味しいです!ニマニマしたいのを何とか堪えながらDIOの手を取って足を動かす。実を言うともう足は疲れてきたし、テレンスさんの美味しい紅茶が恋しくなってきていた。しかし、こんな可愛い事言われたら一晩だって付き合ってあげようじゃないですか。


「DIO様は寂しがり屋だねー」

「…凍らされたいか貴様」

「はいはい、凍らなくても側に居てあげますよー」


そんな軽口を叩いても何の文句も言わないから振り返ればDIOがどこか嬉しそうな、柔らかな微笑みを湛えていたものだから赤くなる顔を隠そうと前を向くことしか出来なかった。



その顔は卑怯だと思うんです
不意打ちにも程が有る

→アトガキ



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