「テレンスさんテレンスさん」

「はい、何ですか」

「愛してます」

「…」

「何ですか、その豆鉄砲喰らった鳩みたいな顔は」

「…いえ、あなたからそう言う事を言うのは珍しいもので。少々驚きました」

「今日は日本でいい夫婦の日なんです」

「ああ、語呂合わせですか」

「はい。で、たまには私から言うべきかなぁと…」

「顔が真っ赤ですよ」

「それは言わなくてもいいでしょう」

「そうですね。失礼いたしました」

「…笑いが堪え切れてませんよ」

「それはねえ…」

「い、いきなり抱き締めないでくださいよ！」

「可愛い奥さんにそう言われて喜ばない男は居ませんから」

「…私の文句聞いてました？」

「ええ。…"たまには"こういうのもいいでしょう？今日はいい夫婦の日なんですから」

「…」

「今日はあなたの好きなもの一杯作りましょうかね」

「それって奥さんが言うセリフな気がするんですけど」

「おや。では一緒に作りますか？」

「…デザートは私が作ります。テレンスさんの好きなもの一杯」

「おやおや。では料理は控えめにしないといけませんね」

「え！それは嫌です。テレンスさんのお料理お腹いっぱい食べたいです」

「お腹壊しますよ」

「…」

「それに、名前が望むなら何時だって作って差し上げますよ」

「甘やかしすぎると後悔しますよ」

「その心配はありませんね。…私も愛してますから」

「…答えになってないと思います」

「はいはい。では準備にかかりましょうか」

「…はーい」


いつも上手な旦那様
(…作り過ぎて食卓に乗りませんね)
(やはりやり過ぎましたか…)