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「お前らもう終わったのか」
先に来ていた花京院と友人に手を上げる。
「うん。君達は遅かったね」
「名前がなにか買ってたからじゃない?」
悪戯そうに笑いながら友人がおれの持つビニール袋を指差した。
「屋台の誘惑に勝てなくて…」
「全く。はい、甘酒どうぞー」
差し出された甘酒を呑む。その時友人の目が光った。
「で、さ。なんで名前はそんな顔赤いのかなあ」
「…寒いから」
「嘘吐きー!その顔は何かあったな!吐け!」
「じょ、承太郎…」
助けを求める様に名前が見てくるが目を逸らす。巻きこまれるのはごめんだ。花京院に話を振る。
じっと見つめてくるのが分かったが無視していると諦めたのか名前が一つため息をついて。友人に何か耳打ちした。それに目を丸くした友人がこちらを向いて。
「空条」
「あ?」
「結婚式の余興は任せておいてくれ!ね、典明」
その言葉に飲んでいた甘酒が気管に入って咳き込む。
「え?承太郎結婚するのかい」
「なんでそうなる」
「だってプロポーズしたんでしょ?」
その言葉に名前を見ればにっこりと微笑まれて。どうやら助け船を出さなかったのを恨んでいるらしい。
「いや…」
「いいの友人…私が先走っちゃったみたい」
よよよ、なんてバレバレな嘘泣きまで入れるものだから、完璧おれが悪役だ。
「…今晩は覚悟しとけよ名前」
きゃー、空条ったらえっちー!と叫ぶ馬鹿や顔を赤くする花京院とは対照に言葉を失くして青褪める名前にニヤリと笑うのだった。…新年早々やれやれだぜ。
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