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そんな風にされたらおれも居た堪れない。おれも悪かったと言えば、喧嘩両成敗!と笑いながら何かを差し出してきた。
「…たこ焼き?」
「焼きそばもあるよ?あ、あとあんず飴とか」
手に提げたビニール袋から色々と取り出す名前。さっきまで気付かなかったがいつの間にか持っていた袋の中はしっかりと詰まっていた。
「…お前人が探してたのに呑気に買い物してやがったのか」
自然と低くなった声に名前の肩が跳ねる。乾いた笑いを上げながら首を傾げた。
「いやあ、屋台のものってどうしてこんな美味しそうに見えるんだろうねえ」
「そういう問題じゃねーだろ…」
「あはは…でもさ。心配してなかったし」
「あ?」
「だって絶対承太郎が見つけてくれると思ってたもん」
で、本当に来てくれたし、と笑う名前に脱力してしまう。何も言えずにセットした髪を撫でまわしてやれば、止めてよ、と暴れていた。
今度ははぐれない様にしっかりと手を繋いで歩く。
「あ、お守り買おう!お守り!」
社務所を見つけた名前が駆けていく。またはぐれたらどうするんだと思いつつ後ろ姿から目を離さずに足早に続いた。
「後は、おみくじ引かなきゃね」
「…別にいいじゃねーか」
「何言ってるの、初詣って言ったらやっぱりおみくじでしょ!」
それがメインなのはどうなんだと思いながら行列の後ろに並ぶ。順番が来て名前がいいのこい!と叫んでいるのを尻目にさっさと引いてしまう。後ろの奴らには悪いが、名前が引き終わるまで待ち、一緒に列を抜けた。
「さーて、今年の運勢はっと!」
鼻歌交じりに開いていく名前。それに倣ってくじを開く。…中吉。まあ悪くはないだろう。書かれている事を流し読んで名前を見れば、残念な顔をしていた。
「なんだったんだ」
「…吉」
「そこまで落ち込むことじゃねーだろ」
「でもほとんどいい事書いてないもん…」
結んで帰らなきゃ、という名前の手からくじを引き抜き読んでみる。…。
「結ばなくてもいいだろ」
「え、結んだ方がいいじゃない」
「ここ」
おれが指差した先には恋愛・縁談の項目。そこには幸せな時を過ごせると言った旨の事が書いてあった。
「…えーっと」
「それだけありゃ充分だろ」
ほら行くぞ、と手を引く。後ろからついてくる名前の顔は真っ赤だった。
神様なんかに頼らなくても幸せにしてやろうではないか
→おまけ
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