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side.k
「じゃあそういうことで」
「うむ」
DIOと話が一段落した所で名前と承太郎が戻ってきた。名前は苦笑していて、承太郎はどこか不満げだ。大方名前に叱られる様な状況になったのかもしれない。承太郎は普段とても冷静なくせに名前と居ると出会った頃の様に大人げない所を見せるから。
「おかえり」
「ただいま」
「どこに行ってたのだ」
「書庫の片付けしてきたんだよー」
疲れた、なんて言う割に名前の顔に疲労は見えない。なのにDIOは甘やかすようによくやった、と名前の頭を撫でて。それに目を細める名前になにか見てはいけないものを見てしまった様な気持ちになる。
「さて、DIOは仕事部屋片付けてきてちょうだい」
「…テレンスがやっているから問題はない」
「机の上の書類と床のほこり取るくらいでいいから」
「WRY…」
箒とちりとりは置いてあるからね、と言いながらDIOの背を押して送り出すと名前が困ったようにこちらを向いた。
「ごめんね、なんのお構いも出来ないで」
「いや、いいよ。美味しい紅茶も貰ったしね」
空いたカップを掲げると、じゃあおかわりもどうぞ、と新しい紅茶を点て始める。
「名前は掃除もう終わったのかい?」
「あとは寝室くらいかなあ」
「そっか」
「でも出来あいのものも多いけど御節も作ってあげたいし…。寝室はざっとって感じかな」
「忙しいね」
「師走だからねー」
けらけらと笑う名前を横目に承太郎は我が物顔でソファに横になっていた。ほんの僅かな時間だと言うのに掃除に駆り出されて疲れてしまったのだろうか。この様子では名前の言う研究室に本で出来た塔があるというのも本当かも知れない。
「あ、ついでに台所くらいは磨いとこうかなぁ…」
「手伝おうか?」
「え!いいよ悪いし!」
「いいよ、どうせこのままじゃ暇だしね」
DIOが起きているとは思わなかったから帰りの飛行機は最終便を予約してあった。それまで暇を潰そうにも承太郎は寝ているし、一人でどこかに居る気にもなれない。そう言えば名前はお言葉に甘えて、と笑った。
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