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それからのフーゴくんの行動力は凄まじかった。まずジョルノとブチャラティに訴え、私付きの秘書の様なポジションを手に入れた。そして仕事を完璧にこなす傍ら私を口説くことも忘れない。…なんだこの子。
「フーゴくん」
「はい」
「…君は一体何がしたいんだい」
「今の所はナマエさんの片腕として仕事をこなす事ですかね」
「それはもうほぼ完璧だけどね」
「そうですか。では次は貴女の心を射止める事です」
二コリ、と微笑むフーゴくんに思わず頭を抱える。流石イタリアーノと言えるセリフである。っていうかなんだろうこの子。賢いと思ってたんだけどお馬鹿なのかな本質は。
「ナマエさん」
「はい、なに?」
思わずぶっきらぼうに返してしまうが、何もしゃべらない彼に顔を上げる。そこにはあの日と同じ真っ直ぐに私を見る瞳があって。
「一年、ぼくに時間をください」
「一年?」
「はい。…ぼくは次のカポダンノにもう一度貴女に告白します」
「は、はあ…」
「その時までに貴女に釣り合う様に頑張りますから。…もしその時貴女が嫌だと思ったら断ってくださって構いません」
それまでに絶対振り向かせてみせます、と笑うフーゴくんに思わず頷くしかなかった。…ああ、彼もまた情熱的なイタリアーノなんだね、うん。
「…本当にどうしたらいいと思うリゾット」
「オレに聞くな」
「コーヒー奢ってるんだしそうつれない事を言わず…」
「そう言われてもな」
「悪い子ではないんだよ?仕事も出来るし、外交の場に連れってってもなんの問題もない」
「ふむ」
「顔も…まあ、綺麗だし。声も嫌いじゃないんだよね、むしろ落ち着く感じ」
「ああ」
「気配りも出来てるし、本当マメだし。確かにあれが彼氏なら満足しない女の子は居ないね」
「なら付き合えばいいだろう」
「…そういう問題じゃないでしょう。歳の差考えてよ、10歳差だよ?下手すりゃ犯罪だよ」
というか下手しなくとも日本なら淫行罪で逮捕だ。
「犯罪、な。見た目的には釣り合い取れてるぞ」
「…それはそういう意味かな」
「…日本人は若く見える」
「上手く逃げたな…」
じろりと睨む私を見ずにコーヒーを啜るリゾット。舌打ちをして私もコーヒーを煽る。うん、中々美味しい。
「…さっきの話だが」
「なに?見た目の話なら殴るよ」
「いや。…犯罪だとかなんだとか言っていたが、元々オレ達には関係のない所だろう」
その言葉に戸惑う私に、相手が本気ならばそういう柵は抜きにして考えてやれ、とだけ告げてリゾットは帰って行った。…くそう、格好いいじゃないか!
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