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※パラレル
無駄親子とジョルノの腹違いの姉の三人が日本でのほほんと暮らしてます
「さて、今年一年お疲れさまでした」
そんな姉さんの一言にぼくとパードレがお疲れさまでした、と頭を下げる。こうした日本式の挨拶ももう慣れたものだ。
「紅白でも見ながらだらだらおしゃべりって言うのも年末の醍醐味だよねえ」
「今年はこたつもありますしね」
「炬燵が魔物だと言うのは本当だったようだな…」
WRY…と呟きながらこたつに突っ伏せるパードレの足を下で蹴る。
「ジョルノ…何をするのだ」
「ぼくの足に当たってるんですよ」
「席変わろうか?」
「いえ、姉さんがわざわざ動く必要はありません。パードレがさっさと足を引っこめればすむ話です」
「WRY…ジョルノはパードレに厳しすぎるぞ…」
ごそごそと胡坐をかくパードレを養豚場の豚を見る目で見ておいた。ショックを受けたのかまた身体を投げ出すパードレにため息が出る。
「もう、父さんジョルノは思春期なのよ?パパ大好き!なんて素直に言えるはずないでしょう?」
「まるでぼくがパードレの事を好きなように言うのは止めてください。っていうかそれを言うなら姉さんだって思春期でしょう。歳変わらないんですから」
「女の子の成長は早いのよ」
くすくすと笑う姉さんに思わず顔を顰める。この人はどうしてこうも大らかなのだろうか。ぼくと腹違いのこの姉もまた、勝手に作られてこの人の顔も知らずに育ってきたはずなのに。事業が成功して迎えに来た、というパードレに会ったのはぼくとそう変わらない時期の筈だ。なのに姉さんはもうパードレを受け入れて許している。これではぼくが心の狭い人間みたいだ。
「全く、姉さんは馬鹿ですね」
「ええ!いきなりそんな事言わなくてもいいじゃない」
姉さんが膨らませた頬を指で挟めば間抜けな音と共に空気が抜ける。それに唇を尖らせた姉さんに思わず笑ってしまった。
「本当、変な人だ」
「馬鹿の次は変かあ…」
まだマシかしら、と呟く姉さんと笑うぼくををパードレが優しい目で見ているのに気付いて何とも言えない気持ちになる。姉さんだけでなく、ぼくに対してもそういう目で見ている事は薄々気づいていた。ただそれを幼い反抗心で遮っているだけで。これでは姉さんの言う様にただの反抗期ではないかと少々恥ずかしく思った。
「…パードレ」
「なんだジョルノ!」
名前を呼んだだけで犬の様に目を輝かせて振り向くパードレに言おうとした言葉が引っ込む。
「お年玉期待してますね」
「任せておけ!」
結局言いたい言葉は出てこなかったが、彼が嬉しそうに笑ったからそれでいいかと苦笑した。
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