「ボンジョルノナマエ!」
「ボンジョルノメローネ。…で、なんで人の上に覆いかぶさってるのかな」
「ナマエが起きないから悪いんだろう?もしオレが悪い奴だったらどうするんだい!」
「布団の中に手を突っ込んでる時点で悪い人だと思うよ」
「あいてててて!抓らないでくれよ」
「いいから手を離しなさい。ついでにどいてよ重いんだから」
渋々上から降りたメローネの頭を小突いてから、備え付けられた洗面所に向かう。メローネが着いてきたが気にしたら負けだ。顔を洗うのに水を出して温まるのを待つ。指先で温度を確認していると後ろの変態が纏わりついてきた。
「なんか今日テンション高くない?」
「そりゃそうでしょ、今日はナターレだよ!?」
漸く適温になった水で顔を洗いながら後ろで騒ぐメローネの言葉に、今日が25日と言うことに気付いた。月末でしかも年末。次から次へと押しかける書類に埋もれていて日にち感覚がマヒしていたようだ。
「なあなあ!パーティーとかしよう!」
洗顔・スキンケアを終え、着替えているとメローネが楽しそうに笑った。(男の目の前で着替えるのはどうかと思うが、彼には何を言っても通じないしもう諦めの境地である。)
「パーティーねえ…」
ナターレ、私にとって馴染み深い言い方だとクリスマスはイタリアでは家族と過ごすのが一般的だ。まあ、私達にはあまり関係のない通例だが。
「あ、ジャッポーネの方に帰ったりするの?」
「いや、日本はクリスマスより元旦に集まるから。今日は帰らないよ」
「じゃあやろうぜ!…オレ、家族とか居なかったからさ、そういうの憧れなんだ」
そういうメローネはどこか寂しそうにしている。が、目が笑いを隠し切れていない。だけどまあ、騒ぐのは嫌いじゃないし過ごす人がいないのは同じだ。折角なら皆で騒ごうじゃあないか!
「じゃあ、皆にも声かけないとね」
「さっすが名前!話が分かるね!」
嬉しそうに飛びついて来たメローネの手がついでとばかりに胸を揉むものだから鳩尾に肘を叩きこむ。全く油断も隙もない奴だ。涙目になって咳き込むメローネを養豚場のブタを見る様な眼で見下してやる。
「その目ぞくぞくするね!ベネ!」
「うるさい変態」
「それは褒め言葉さ!」
「…君って本当なんて言えばへこませられるんだい」
「ふふ、名前から言われる言葉ならオレはなんだって嬉しく感じるぜ」
「うわあ、ポジティブ変態…」
「そんな風に言われたら照れちゃうな。…それにしても名前」
メローネにドン引いていると真面目な顔をするので、何事かと身を正す。
「…相変わらず貧乳だな、オレが責任を持って大きくしてあげようか?」
「…死ねええええ!!!」
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